米失業保険申請19.9万件、労働市場は安定──生産性が予想超え加速

経済・金融

米労働省が8月6日に発表した週間の新規失業保険申請件数は19万9,000件となり、労働市場が引き続き安定していることを示しました。同時に発表された第2四半期の労働生産性は市場予想を上回るペースで加速し、賃金上昇によるコスト圧力を和らげています。あす発表の7月雇用統計を前に、雇用の底堅さが改めて確認されました。

失業保険申請は予想を下回る

8月1日までの1週間の新規失業保険申請件数は、前週から1,000件増えて19万9,000件(季節調整済み)となりました。ロイターがまとめた市場予想の20万2,000件を下回る水準で、申請件数は今年の18万9,000〜23万件のレンジの下限付近にあります。

人員削減は2年ぶりの低水準

再就職支援会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスの調査では、7月に米企業が発表した人員削減計画は前月比27%減の3万3,429件となり、2024年7月以来の低水準に落ち込みました。前年同月比では46%の減少です。AI(人工知能)の導入拡大に伴う大規模な雇用喪失の兆候はまだ見られず、レイオフはテクノロジー業界に集中しているとされます。

生産性が予想を上回って加速

もう一つの注目点が労働生産性です。労働省労働統計局(BLS)によると、労働者1人あたりの1時間あたり産出量を示す非農業部門の生産性は、第2四半期に年率1.4%上昇しました。市場予想の0.6%を大きく上回り、第1四半期の伸び(0.8%に上方修正)からも加速しています。エコノミストの間では、企業によるAI活用が生産性を押し上げている可能性が指摘されています。

生産性の向上を受けて、労働コストの伸びは抑制されました。単位労働コスト(産出1単位あたりの人件費)は年率1.3%の上昇にとどまり、予想の2.1%を下回っています。米連邦準備制度理事会(FRB、米国の中央銀行)は先週、政策金利を3.50〜3.75%に据え置いたばかりですが、3人の委員が0.25%の利上げを求めて反対票を投じました。あす発表の7月雇用統計では、非農業部門雇用者数が8万人増と予想されています。

日本への影響

米労働市場の安定と生産性の加速は、日本の投資家や家計にとっても見逃せない材料です。雇用が底堅く推移すれば、FRBが急いで利下げに動く必要性は薄れ、日米の金利差が当面維持されやすくなります。これは円安・ドル高の圧力として働き、8月7日時点で1ドル147円前後で推移する円相場や、輸出企業が多い日経平均株価の値動きに直結します。トヨタ自動車やソニーグループといった輸出関連銘柄には追い風となる一方、輸入価格の上昇を通じてガソリンや食料品などの家計負担が高止まりする懸念もあります。

また、AIの導入が米国の生産性を押し上げ始めたという見方は、日本企業にとっても重要な示唆を含んでいます。人手不足が深刻な日本では、AIやロボットによる省人化・効率化が生産性向上の切り札として期待されており、米国の動向は先行事例として参考になります。あすの7月雇用統計の結果次第で為替や株式相場が大きく動く可能性があるため、日本の投資家も週末をまたぐポジション管理に注意を払う必要があります。

まとめ:米労働市場は安定を保ちつつ、生産性の加速という明るい材料も加わっています。あすの雇用統計を冷静に見極めながら、為替と株価の動きに備えていきましょう。


出典:
Reuters – US labor market stable; worker productivity accelerates in second quarter

Photo: Brett Jordan / Unsplash

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