アマゾンのジャシーCEOは4月9日の株主宛書簡で、自社製チップ事業が年間200億ドル超の売上に達し、前年比3桁成長を続けていると明らかにした。主力AIアクセラレータ「Trainium2」は完売、後継の「Trainium3」もほぼ予約完了となり、エヌビディア一強のAI半導体市場に地殻変動が起きつつある。
外販の可能性にも言及──「500億ドル規模」の事業価値
書簡でジャシー氏は「もし市場で販売すれば、事業価値は年間500億ドル規模に相当する」と述べ、第三者への外販も視野に入れる姿勢を示した。現在はAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)のクラウド利用者のみが使用できるが、今後は直接販売の可能性もあるという。Trainium2は比較対象のGPUより30%優れた価格性能比を実現、Trainium3はさらに30〜40%の性能向上を達成したとされる。
Trainium3はUberが大量採用、Trainium4も予約殺到
需要は供給を大きく上回っている。2026年初から出荷を始めたTrainium3はUber(ウーバー)などが大量採用しほぼ完売状態、約18カ月後に広く利用可能になるTrainium4も大量予約が入っている。Trainium4はエヌビディアのNVLink Fusion(エヌブイリンク・フュージョン、高速相互接続技術)との互換性を持つ点が注目される。AWSのAI関連売上は年換算で150億ドル規模に達し、OpenAI(オープンAI)は昨年11月の38億ドル7年契約に加え、1,000億ドル超を追加で確約したという。
2026年設備投資2,000億ドル──「AIの重心は変わり始めた」
アマゾンは2026年の設備投資額として約2,000億ドルを計画し、その大半をAIインフラ・自社半導体・ロボット分野に投じる。2つの大口顧客が2026年分のGraviton(グラビトン、汎用CPU)供給を「全量買い占めたい」と打診してきたが、他顧客への供給確保のために断ったという逸話まで披露した。「これまでのAIのほぼすべてはエヌビディアチップ上で動いてきたが、新たな変化が始まっている」とジャシー氏は宣言した。
まとめ:AI半導体の覇者交代劇は始まるのか──「完売」の事実が、エヌビディア独占時代の終焉を予感させる。
出典:
Quartz – Amazon may sell Trainium AI chips to third parties
TNW – Amazon’s chip business could be worth $50 billion
AInvest – Amazon Eyes $50B AI Chip Run-Rate as Trainium 3 Challenges Nvidia
Photo: Albert Stoynov / Unsplash


