米失業保険申請が8週ぶり高水準──労働市場、なお底堅く

経済・金融

米労働省が発表した週間の新規失業保険申請件数が20万9000件と、市場予想(20万2000件)を上回り、約8週間ぶりの高水準となりました。ただ、継続受給者数はむしろ減少しており、米国の雇用情勢が急速に悪化しているわけではありません。利下げの行方を占ううえで、労働市場の「底堅さ」があらためて確認された形です。

新規申請は予想上回るも、なお低水準

新規失業保険申請件数とは、その週に新たに失業手当を申請した人の数を示す指標で、労働市場の変化をいち早く映す「速報値」として注目されます。今回は前週から9000件増えて20万9000件となり、事前の市場予想である20万2000件を上回りました。約8週間ぶりの高い水準ですが、歴史的に見ればなお低い水準にとどまっています。

継続受給者はむしろ減少

一方で、すでに手当を受け取り続けている人の数を示す「継続受給者数」は2万2000件減って177万7000件となりました。新規申請がやや増えても、失業状態が長引く人はむしろ減っており、労働市場全体としては底堅さを保っているといえます。

背景には、金融政策をめぐる綱引きがあります。米連邦準備制度理事会(FRB=米国の中央銀行にあたる組織)の内部では、「米国はほぼ完全雇用にある」との見方を示す委員もいて、雇用の強さがどこまで続くかが利下げ判断の重要な材料となっています。政権が公務員の削減を進めるなか、連邦職員による申請がわずかに増えた点も、今後の注目材料です。

日本への影響

米国の雇用が底堅いという事実は、日本の投資家や家計にも間接的な影響を及ぼします。労働市場が強ければFRBが急いで利下げする必要が薄れ、日米の金利差が開いたままとなりやすく、円安・ドル高の圧力がかかりやすくなります。実際、1ドル=150円前後で推移する円相場が続けば、トヨタ自動車やソニーグループといった輸出企業にとっては追い風となる一方、輸入コストの上昇を通じて家計の食料品やエネルギー負担が重くなります。

日銀の植田和男総裁にとっても、円安が輸入インフレを押し上げれば追加利上げの判断を迫られるため、米国の雇用指標から目が離せない状況が続きます。日本の読者としては、為替相場の振れが預金や投資、日々の物価に波及する点を意識し、円建て・外貨建ての資産バランスをあらためて点検しておくことが求められます。

まとめ:一つの指標に一喜一憂せず、雇用と物価という二つの流れを合わせて見ていくことが、これからの相場を読む鍵になります。


出典:
Trading Economics – United States Initial Jobless Claims
Trading Economics – United States Continuing Jobless Claims

Photo: Leftfield Corn / Unsplash

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