米国の6月の小売売上高は前月比0.2%増と市場予想を下回り、消費の減速が鮮明になりました。一方で新規失業保険申請件数は5週間ぶりの低水準に落ち込み、製造業景況感は急改善しています。強弱が入り混じる指標に、市場は米経済の行方を読みかねています。
小売売上高は予想下回る
米商務省が発表した6月の小売売上高は前月比0.2%増にとどまり、エコノミストの予想を下回りました。ガソリン価格の低下でガソリンスタンドの売上が5.3%減少したことが全体を押し下げましたが、ガソリンを除くと0.7%増と底堅く、国内総生産(GDP)の算出に使われる「コントロールグループ」も0.5%増加しています。
雇用は堅調さを維持
労働市場は依然として強さを保っています。7月11日までの週の新規失業保険申請件数は前週比8000件減の20万8000件と、予想の21万7000件を大きく下回り、5週間ぶりの低水準となりました。給付を受け続ける人の数を示す継続受給件数も180万5000件に減少しています。
製造業は急改善
製造業では明るい兆しが出ています。フィラデルフィア連銀の製造業景況指数は7月に41.4へと急上昇し、6月の10.3から大きく改善しました。新規受注、出荷、労働時間がそろって伸び、2021年終盤以来の速いペースでの地域製造業の拡大を示しています。消費が冷え込む一方で製造業が過熱するという、まだら模様の経済の姿が浮かび上がっています。
日本への影響
まだら模様の米経済指標は、日本の投資家や輸出企業にとって金融政策の先行きを読みにくくさせています。米連邦準備制度理事会(FRB)は7月28日から29日の会合を控えており、労働市場の底堅さが利下げ観測をさらに後退させれば、日米金利差を意識した円安圧力が続く可能性があります。実際に円相場は1ドル150円台での推移が続いており、輸入物価の上昇を通じて日本の家計を圧迫しています。
トヨタ自動車やソニーグループなど米国売上比率の高い日本企業にとって、米国の個人消費の減速は業績の逆風となりかねません。とりわけ自動車や家電といった耐久消費財は、ガソリン高や金利高が続く環境で買い控えが起きやすい分野です。一方で製造業の回復は半導体製造装置や工作機械を手がける日本企業への需要を下支えする可能性があり、東京エレクトロンやファナックといった銘柄には追い風となる場面も考えられます。日本の投資家は、月末のFRB会合と円相場の動きを慎重に見極める必要があります。
まとめ:米経済は減速と過熱が同居する複雑な局面にあります。日本の読者も、月末のFRB会合と為替の動向を落ち着いて見守りたいところです。
出典:
Babypips – US Retail Sales, Jobless Claims, Philly Fed
Trading Economics – United States Calendar
Photo: Jonny Gios / Unsplash

