アジア開発銀行(ADB=アジア地域の開発を支援する国際金融機関)は、債券利回りの上昇と通貨安に直面する新興国に対し、財政基盤と信用力を高めるよう求めました。フィリピンなどを念頭に、借入コスト上昇への備えを促す内容です。
神田総裁「外的ショックへの備えを」
ADBの神田真人総裁は9月の記者会見で、借入コストの上昇が発展途上の加盟国に与える影響に懸念を示しつつも、新興国は外的ショックへの備えを積み上げてきたと指摘しました。米国の金利高と通貨高が続くなか、各国は自国の財政と信用力を守る対応を迫られています。
フィリピンでは国債利回り7%超、ペソは最安値
市場では実際に緊張が高まっています。フィリピンでは指標となる10年物国債の利回りが月間を通じて7%を超え、通貨ペソは1ドル=62ペソの節目を割り込んで連日の最安値を更新しました。ドル高が新興国通貨に重い負担をかけている構図です。
神田総裁は、国内の経済基盤を固めるだけでなく、外的ショックには多国間で対応する必要があると強調し、域内の連結性強化や貿易相手国との関係深化を呼びかけました。単独ではなく地域全体で耐性を高める発想が背景にあります。
日本への影響
新興国の通貨安と金利上昇は、日本の投資家にとって決して他人事ではありません。新興国債券やアジア株を組み入れた投資信託を保有する家計では、現地通貨安が円換算での評価額を押し下げる要因になります。またフィリピンやインドネシアなど東南アジアは、トヨタ自動車やパナソニックをはじめとする日本企業が生産・販売の拠点を数多く構える重要市場であり、現地通貨安は売上の円換算目減りやローンを組む消費者の購買力低下を通じて業績に響く恐れがあります。ADBは日本が主要な出資国であるだけに、神田総裁が示した「多国間での対応」は、日本の官民が今後アジアの金融安定にどう関与していくかを占う手がかりにもなります。新興国関連の資産を持つ読者は、為替と現地金利の動きをこまめに確認し、値動きの荒さを前提にした分散投資を心がけることが求められます。
まとめ:新興国の変調は巡り巡って私たちの資産にも届きます。地域全体の底堅さに、これまで以上に目を向けたいですね。
出典:
Inquirer – ADB urges developing markets to strengthen fiscal position


