米供給管理協会(ISM)が10月5日に発表した9月のサービス業(非製造業)景況感指数は54.9となり、8月の55.4から0.5ポイント低下しました。好不況の分かれ目となる50を27カ月連続で上回り、サービス業の拡大が続いていることを示しましたが、企業の仕入れ価格を示す「価格指数」は74.0と2022年7月以来の高さに達し、インフレ圧力が根強いことが浮き彫りになりました。
拡大は続くもペースは鈍化
ISM景況感指数は、米国の購買担当者への調査をもとに算出される代表的な景気指標で、50を上回れば拡大、下回れば縮小を意味します。9月は54.9と拡大圏を保ったものの、企業の事業活動を示す指数は61.7から56.5へと5.2ポイント急低下しました。新規受注も60.9から59.8へ小幅に鈍化しており、勢いはやや弱まっています。調査を取りまとめたスティーブ・ミラー委員長は、今回の水準が実質国内総生産(GDP)に換算して年率2.1ポイント分の増加に相当すると説明しました。
雇用は拡大圏に復帰
一方で明るい材料もありました。雇用指数は47.8から50.1へ2.3ポイント上昇し、2カ月ぶりに拡大圏へ戻りました。労働市場の減速が懸念されるなかで、サービス業の採用意欲が持ち直した形です。政府機関の一部閉鎖で公式統計の発表が遅れるなか、民間が集計するISM指数への注目度は一段と高まっています。
物価高と関税が重荷
懸念されるのは価格指数の高止まりです。74.0という数字は2022年7月以来の高水準で、企業が仕入れコストの上昇に直面していることを示します。回答企業は関税(輸入品にかかる税金)と燃料費を最大の逆風に挙げ、とくに燃料費は他のどの要因よりも2倍多く言及されました。物価の上振れは、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ判断を慎重にさせる要因となります。
日本への影響
米サービス業の価格指数が2022年以来の高さに達したことは、日本にとって二つの意味を持ちます。第一に、米国のインフレが根強ければFRBの利下げは遠のき、日米金利差が開いた状態が続くため、円安・ドル高の地合いが維持されやすくなります。輸入物価の上昇を通じて、電気代やガソリン代、食料品価格が家計を圧迫する展開が続く可能性があります。第二に、米国の個人消費が底堅ければ、トヨタ自動車やソニーグループなど米国売上比率の高い日本企業の業績を下支えします。関税と燃料費が米企業の重荷になっている点は、同じ輸入コスト高に苦しむ日本企業にとっても他人事ではありません。日本の個人投資家にとっては、米国株や米国債を組み入れた投資信託の値動きに、こうした物価指標が影響する点を押さえておきたいところです。円建てで資産を持つ人も、為替の動き次第で実質的な価値が変わるため、米国の物価動向から目を離さないことが求められます。
まとめ:景気指標の一つひとつが、巡り巡って私たちの財布や資産に関わってきます。拡大は続くものの物価は高止まり、という米経済の難しい局面を、落ち着いて見守っていきたいですね。
出典:
PR Newswire – September 2026 ISM Services PMI Report
ISM – Services PMI September 2026


