半導体大手の米AMD(エーエムディー)と、ChatGPTを手がける米オープンAIは、AI向け半導体で大型の戦略提携を発表しました。AMDは今後数年かけて合計6ギガワット(GW)規模の最新AI半導体をオープンAIに供給します。提携を受けてAMDの株価は一時24%急騰し、終値は過去最高の633.91ドルを記録しました。AI開発競争の激化を象徴する動きとして、市場の注目を集めています。
6ギガワットという巨大な規模
今回の提携の目玉は、6ギガワットという供給規模の大きさです。ギガワットは電力の単位で、AIを動かすデータセンターがどれだけの計算能力を必要とするかを示します。6ギガワットは原発数基分に相当する巨大な電力消費量で、AI向け計算需要の急拡大を物語っています。供給されるのはAMDの次世代AI半導体「Instinct MI450(インスティンクト・エムアイ450)」で、最初の1ギガワット分は2026年後半から順次導入される予定です。
オープンAIがAMD株を取得する異例の仕組み
今回の提携には、オープンAIがAMDの株式を取得できる「ワラント(新株予約権)」が組み込まれました。AMDは最大1億6,000万株分の予約権をオープンAIに付与し、半導体の導入が段階的に進むごとに権利が確定していく仕組みです。すべての条件が満たされれば、オープンAIはAMDのおよそ10%を保有する可能性があります。半導体を「買う側」の顧客が「売る側」の株主にもなる異例の構図で、両社を深く結びつける狙いがあります。
エヌビディアへの対抗軸
この提携は、AI半導体市場で圧倒的なシェアを握る首位メーカーへの対抗軸を強める意味を持ちます。AMDの最高財務責任者(CFO)は、今回の提携が数百億ドル規模の売上高をもたらすとの見通しを示しました。巨額のAI投資がどこまで持続するのかという議論もあるなか、需要の裏付けを得たAMDへの期待が株価の急騰につながりました。
日本への影響
AI半導体をめぐる投資競争の過熱は、日本の製造業に大きな商機をもたらします。AMDの最新半導体を製造するのは台湾のTSMCですが、その製造には東京エレクトロンやアドバンテスト、スクリーンホールディングスといった日本の半導体製造装置メーカーの技術が欠かせません。6ギガワット規模の半導体増産は、これら日本企業の受注増に直結する可能性があります。また半導体の基板材料や検査装置、冷却部品などでも日本企業が高いシェアを握っており、AI投資の拡大は幅広い産業に恩恵を及ぼします。株式市場でも、AI関連の日本株は米半導体株の動きに連動しやすく、AMDの最高値更新は東京市場の関連銘柄を刺激する場面が想定されます。一方で、特定企業へのAI投資が過熱すれば相場全体の変動も大きくなるため、関連する投資信託を保有する個人投資家は値動きの荒さにも備えておきたいところです。
まとめ:AIを動かす「頭脳」である半導体をめぐる競争は、ますます激しさを増しています。その恩恵とリスクの両方が、日本の産業と私たちの投資にも及んでいることを意識しておきたいですね。
出典:
OpenAI – AMD and OpenAI strategic partnership
CNBC – OpenAI looks to take stake in AMD through AI chip deal
Photo: Brecht Corbeel / Unsplash


