米財務省は7月7日、イラン産の原油と石油化学製品の輸出を認めていた制裁免除措置を撤回しました。ホルムズ海峡でのイランによる船舶攻撃を受けた対応で、米軍は80カ所以上への報復攻撃も実施しました。国際指標のブレント原油は約5.4%急騰し、供給不安が再び世界経済に重くのしかかっています。
わずか3週間で覆った合意
今回撤回された制裁免除は、6月21日に米国とイランが署名した覚書(MoU)に基づくもので、8月21日までイラン産原油の生産・販売を一時的に認めていました。イランの核開発を含む包括合意への第一歩と位置づけられていましたが、成果に応じて優遇が続く「実績連動型」の枠組みでした。米財務省は、過去24時間に相次いだホルムズ海峡での船舶攻撃を理由に免除を撤回し、既存取引の清算期限を7月17日に設定しました。
原油価格が急反発
供給への懸念から原油相場は急騰しました。ブレント原油先物は前日比5.43%高の1バレル78.19ドル、米国産WTIも4.37%高の73.52ドルで取引を終えています。ホルムズ海峡は世界の海上原油輸送の約2割が通過する要衝で、カタールのLNG船を含む3隻が数時間のうちに被弾したと伝えられました。トランプ大統領がNATO首脳会議の場でイランとの停戦は「終わった」と述べたことも、地政学リスクへの警戒を強めています。
インフレ再燃への警戒
原油高は幅広い物価に波及します。米連邦準備制度理事会(FRB、米国の中央銀行にあたる組織)は6月会合でインフレ見通しを引き上げ、個人消費支出(PCE)物価指数を今年3.6%と予想していました。エネルギー価格の再上昇は、この見通しをさらに押し上げる恐れがあり、7月28〜29日の次回会合での利下げ観測を一段と後退させる可能性があります。
日本への影響
原油のほぼ全量を輸入に頼る日本にとって、今回の供給不安は家計と企業の双方に直接響きます。ガソリンや電気・ガス料金の上昇圧力が強まれば、すでに物価高に苦しむ家計の負担がさらに増します。1ドル162円台という約40年ぶりの円安も重なり、輸入コストは円換算で一段と膨らむため、食品や日用品の値上げが続く展開も見込まれます。ENEOSや出光興産といった石油元売り各社の調達コストや、電力・ガス会社の燃料費調整にも波及していきます。
投資家の視点では、原油高は日本の貿易収支を悪化させ、円安をさらに助長する要因となります。日経平均株価は海運や資源関連株が買われる一方、原材料コストの上昇が重荷となる自動車や素材産業には逆風です。日本銀行にとっても、輸入インフレの再燃は金融政策の判断を難しくします。読者としては、当面はエネルギー関連の値上げを前提に家計を点検し、ガソリンのまとめ買いや省エネ、固定費の見直しといった現実的な備えを進めておくことが求められます。
まとめ:中東発の供給不安が、再び私たちの生活コストに跳ね返ろうとしています。原油相場と円相場の両方に目を配りながら、無理のない備えを心がけたいものです。
出典:
The Hill – US revokes Iran oil sanctions waiver
Axios – US revokes Iran oil waivers after Hormuz attacks
Bloomberg – US Strikes Iran and Blocks Oil Sales
Photo: Alpha Perspective / Unsplash


