米ユタ州は4月、AI(人工知能)による処方薬の自動更新を精神科薬にまで拡大する新たなパイロットプログラムを承認した。1月に開始された慢性疾患薬の自動更新に続く全米初の取り組みで、医療AIの実用化が加速している。
190種の慢性疾患薬から精神科薬15種へ──段階的に拡大
ユタ州は今年1月、テクノロジー企業ドクトロニック(Doctronic)と提携し、糖尿病や高血圧など慢性疾患の処方薬190種について、AIによる自動更新を許可する12カ月のパイロットプログラムを全米で初めて開始した。初回処方は人間の医師が行い、AIは患者の病歴や臨床データを分析して更新を判断する仕組みで、更新1回につき4ドルの費用がかかる。同社によると、AIの治療計画は医師の判断と99.2%一致しているという。
管理物質・抗精神病薬は対象外──厳格な安全措置
4月に始まる新プログラムでは、レジオン(Legion)社のAIが15種類のリスクの低い精神科薬に限定して処方更新を行う。管理物質(規制薬物)、抗精神病薬、リチウムは対象外で、容態が不安定な患者の処方は自動的に医師にエスカレーションされる。また、より広範な運用に移行する前に、最初の1,250件は医師による審査が義務付けられている。
一方で米国医師会(AMA)のジョン・ワイト最高経営責任者は「医師の関与なしにAIが処方を行うことは患者に深刻なリスクをもたらす」と懸念を表明。依存症患者がシステムを悪用する可能性も指摘されている。ドクトロニックはテキサス州やアリゾナ州など他州との協議も進めており、「2026年中に十数州が同様の制度を導入する」と予測している。
まとめ:AIによる医療自動化は効率化とコスト削減の可能性を秘めるが、安全性と倫理面の議論は今後さらに活発化するだろう。
出典:
Axios – Utah allows nation’s first AI drug prescriptions
WinBuzzer – Utah tests AI powered pilot for psychiatric refills
The Hill – Utah becomes first state to allow AI to approve prescription refills
Photo: Etactics Inc / Unsplash


