TSMC、四半期最高益を更新──純利益69%増もAI過熱に警戒

テクノロジー

半導体受託製造で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が、2026年7〜9月期決算で6四半期連続となる最高益を更新しました。売上高は前年同期比41.2%増の467億ドル、純利益は同68.7%増と、AI(人工知能)向け半導体の需要が業績を力強く押し上げています。

AI需要が記録的な数字を牽引

TSMCの7〜9月期の売上高は467億2000万ドル(約7兆円)で、前年同期比41.2%増、前の四半期比でも16.2%増えました。純利益は新台湾ドル建てで7630億台湾ドルと前年同期比68.7%増え、市場予想を上回りました。粗利益率は66.4%と高水準を保ち、AIやデータセンター向けの「高性能計算(HPC)」が売上全体の68%を占めるなど、収益の柱がAI関連へと一段とシフトしています。

最先端技術が収益源に

製品別では、回路線幅7ナノメートル(ナノは10億分の1)以下の最先端品が売上の79%を占めました。内訳は3ナノが33%、5ナノが28%、そして次世代の2ナノが早くも8%に達しています。微細化が進むほど性能と電力効率が高まり、エヌビディアやアップルなど世界の大手が競って発注するため、TSMCの技術的な優位がそのまま高い利益率につながっています。

好決算でも株価は下落

ところが、これだけの好決算にもかかわらず、発表後のTSMC株は下落しました。市場ではAIインフラへの巨額投資が過熱しているとの警戒が強まっており、「良い数字」だけでは買いが続かない地合いになっています。投資家は、記録的な業績そのものよりも、その成長がどこまで持続するのかという「次」を厳しく問い始めています。

日本への影響

TSMCの好調は、日本の半導体サプライチェーン(部品や素材の供給網)にとって追い風となります。同社は熊本県にJASM(ジャパン・アドバンスト・セミコンダクター・マニュファクチャリング)の工場を展開しており、第2工場の建設も進むなど、日本国内の雇用や関連投資を直接生み出しています。さらに、東京エレクトロンやスクリーンといった製造装置メーカー、信越化学工業やSUMCOなどシリコンウエハー・材料大手にとって、TSMCの旺盛な設備投資は受注の拡大に直結します。半導体は日本政府が経済安全保障の要と位置づける分野でもあり、TSMCの投資動向は国内の産業政策にも影響を及ぼします。一方で、AI投資の過熱が反転すれば受注が急減するリスクもあり、関連企業は需要の波を見極めた慎重な投資判断が求められます。

まとめ:最高益の数字の裏で、市場の視線はすでに「その先」へ移っています。熱狂と警戒が同居する半導体相場から、目が離せません。


出典:
https://cryptobriefing.com/tsmc-q3-2026-earnings-revenue-up-41/
https://www.benzinga.com/markets/tech/26/10/62373268/tsmc-beats-q3-earnings-and-revenue-estimates-as-ai-chip-demand-drives-41-sales-growth
https://finance.biggo.com/news/US_TSM_2026-10-15

Photo: Brecht Corbeel / Unsplash

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