中東紛争の影響で、世界のヘリウム供給の約33%を担うカタールからの輸出が停止し、半導体製造に深刻な影響が出始めている。米地質調査所(USGS)によると、カタールは2025年に約6,300万立方メートルのヘリウムを生産し、世界全体の約1億9,000万立方メートルの3分の1を占めていた。
半導体製造に不可欠なヘリウム
ヘリウムは半導体製造においてウエハー冷却に不可欠な素材であり、現時点で代替手段は存在しない。とりわけ韓国はヘリウムの約65%をカタールから輸入しており、世界のメモリーチップの約3分の2を生産する同国の半導体産業への打撃が懸念されている。
ラスラファン施設に「広範な損傷」
国営エネルギー企業カタールガスは3月初旬にLNG(液化天然ガス)と関連製品の生産を停止した後、追加攻撃によりラスラファン施設が「広範な損傷」を受けたと発表。年間ヘリウム輸出量は14%減少し、修復には数年を要する見通しだ。ヘリウムのスポット価格はすでに2倍に跳ね上がっている。
業界関係者によれば、在庫の猶予は約2週間とされる。ただしヘリウムは半導体の製造コスト全体に占める割合が小さいため、チップメーカーは価格上昇を受け入れてでも供給を確保する姿勢だ。AIブームで半導体需要が急拡大する中、サプライチェーンの脆弱性が改めて浮き彫りとなった。
まとめ:ヘリウムという見過ごされがちな資源が、AI時代の半導体産業にとって戦略的に重要な存在であることを、今回の危機は示している。
出典:
Tom’s Hardware – Qatar helium shutdown puts chip supply chain on a two-week clock
CNBC – The Iran war is threatening supply of helium
Exiger – Iran War Disrupts One-Third of Global Helium Supply
Photo: Vishnu Mohanan / Unsplash


