遠隔支援ソフトに最悪級の欠陥──中国系集団がゼロデイ悪用

テクノロジー

企業のIT部門が遠隔から社員の端末を保守するためのソフト「BeyondTrust Remote Support」に、極めて深刻な脆弱性が見つかりました。修正前からひそかに攻撃に悪用される「ゼロデイ」として中国系のサイバースパイ集団に突かれていたことが明らかになり、利用企業に早急な対応が呼びかけられています。

危険度9.3の深刻な脆弱性

米セキュリティ企業BeyondTrust(ビヨンドトラスト)は、遠隔支援ソフト「Remote Support」(旧称ボムガー)に深刻な脆弱性があると公表しました。この欠陥は「CVE-2026-102764」として管理され、危険度を示すCVSSスコアは10点満点中9.3と、最悪級に分類されています。

修正前に突かれた「ゼロデイ」

脆弱性は、ソフト内部の通信を検証する仕組みの不備に起因し、条件が整えば遠隔の攻撃者が機器上のファイルを不正に操作できるものです。ゼロデイとは、修正プログラムが提供される前に悪用される未知の欠陥を指し、防御側が無防備なまま攻撃を受けるため被害が深刻になりやすいのが特徴です。

中国系スパイ集団が悪用

悪用していたのは、「Armory Castle(アーモリー・キャッスル、別名UNC5221)」と呼ばれる中国系のサイバースパイ集団です。この集団は2023年から活動し、過去にもシトリックスやイバンティの製品のゼロデイを悪用してきたとされ、法律事務所やIT企業、政府機関などを標的にしてきました。今回は8月下旬に自社設置型の機器が狙われ、攻撃者は機器の最高権限を奪って内部に侵入し、痕跡となるログを消していたと報告されています。

BeyondTrustは、クラウド版については10月9日までに修正を適用済みとする一方、自社のサーバーに設置して使う企業には手動での更新を強く求めています。古いバージョンを使う場合は新しい版への移行が必要です。

日本への影響

遠隔支援ソフトは、社員のパソコンを遠くから保守・操作できる便利な半面、ひとたび乗っ取られれば社内ネットワーク全体への侵入口となる、攻撃者にとって格好の標的です。日本でもテレワークの普及でこの種のソフトの利用は広がっており、同種の製品を導入している企業は決して他人事ではありません。とりわけ自社のサーバーに設置して運用している企業は、クラウド版と違って自動では修正されないため、情報システム部門が速やかに更新状況を確認する必要があります。日本を狙う中国系サイバー攻撃は近年増加傾向にあり、重要インフラや製造業の設計情報、顧客データが狙われれば、事業停止や信頼失墜という深刻な事態を招きかねません。システム管理者は、インターネットに直接つながる管理画面を閉じる、不審な通信を監視するといった基本的な防御を徹底し、取引先を経由した「サプライチェーン攻撃」への備えも固めておくことが求められます。

まとめ:便利なツールほど、狙われたときの被害も大きくなります。「自社は大丈夫か」を今すぐ確認することが、最大の防御につながります。


出典:
https://thehackernews.com/2026/10/china-linked-hackers-exploited.html

Photo: Grianghraf / Unsplash

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