メタ、最強級の公開AI「Muse Spark Open」発表──アップルがMacで実行

テクノロジー

米メタ(旧フェイスブック)は10月15日、誰でも無料で入手できる「オープンウェイト」型の大規模AIモデル「Muse Spark Open」を公開しました。長年のライバルである米アップルがこのモデルを自社のMac上で動かす実演に協力し、犬猿の仲とされてきた両社の「雪解け」としても注目を集めています。

8160億パラメーターの公開モデル

メタが公開した「Muse Spark Open」は、同社が「米国製のオープンウェイトAIとして最も強力」と位置づけるモデルで、パラメーター数は8160億に達します。パラメーターとは、AIの賢さや性能を左右する内部の調整値のことで、数が多いほど一般に高度な処理が可能になります。「オープンウェイト」とは、モデルの中身を無料で公開し、商用利用も認める公開方式を指します。

アップルがMacでの実行を実演

今回の目玉は、アップルとの協業です。両社はメタのモデルを、アップルの最新半導体「M5 Ultra」を搭載したMac Studioを2〜4台つないで、クラウドに頼らず手元の端末だけで動かすことに成功しました。アップル独自の「MLX」という開発基盤が使われています。ただしアップルは、あくまで「自社ハードで動かせる」ことを示した段階で、自社サービスへの本格的な組み込みはこれからです。

ライバル同士の「雪解け」

象徴的なのは、両社の関係修復です。メタのAI責任者アレクサンドル・ワン氏は、両社が数カ月にわたり協力してきたと明かし、プライバシーや広告をめぐって対立してきた過去を踏まえ、和解を冗談めかして表現しました。手元で動かすため利用者のデータがメタに送られない点が、長年の対立の火種を避ける鍵になったとみられます。

一方で、強力なAIを自由に入手できることには懸念もあります。悪意ある利用者が安全装置を取り外し、サイバー攻撃などに悪用する危険が指摘されており、公開と安全のバランスが今後の課題となります。

日本への影響

手元の端末で高性能AIを動かせるという今回の実演は、日本の企業や利用者にとっても大きな意味を持ちます。これまで生成AIの多くはクラウド経由での利用が前提で、機密情報を社外のサーバーに預けることへの不安が、金融機関や官公庁、製造業での導入をためらわせる要因となってきました。データを外部に出さずに自社内でAIを完結できれば、情報漏えいのリスクを抑えつつ業務効率化を進められるため、慎重だった日本企業の導入が加速する可能性があります。また、強力なAIがエヌビディア製の高価なGPU(画像処理半導体)に頼らず動く道が開けば、半導体の調達競争や価格にも影響し、日本のデータセンター投資の前提が変わることも考えられます。一方で、無料で入手できるAIの悪用対策は日本でも急務であり、利用者一人ひとりが安全性を意識して活用する姿勢が求められます。

まとめ:手元で動く高性能AIは、利便性と安全性の両面で私たちの働き方を変える力を秘めています。期待と不安の双方に、冷静に向き合いたいところです。


出典:
https://www.axios.com/2026/10/15/apple-and-meta-bury-the-hatchet-for-ai
https://www.fastcompany.com/

Photo: Roman Budnikov / Unsplash

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