半導体の受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC、ティーエスエムシー)が10月8日に発表した9月の売上高は、前年同月比54.6%増の約5119億台湾ドル(約160億ドル)となりました。人工知能(AI)向け半導体の旺盛な需要が続き、好調な業績を支えています。
好調な月次売上
TSMCの9月の売上高は5118億5700万台湾ドルで、前年同月(3309億台湾ドル)から54.6%増えました。前月の8月は過去最高の5148億台湾ドルを記録しており、9月はそれをわずか0.6%下回ったものの、依然として高い水準を保っています。1月から9月までの累計売上高は3兆8987億台湾ドルに達し、前年同期を41.1%上回りました。
AIブームが追い風
TSMCは、画像処理半導体(GPU)大手エヌビディアや米アップル、米AMDなど世界の名だたる企業から製造を請け負う「ファウンドリー(受託生産)」の最大手です。生成AIの普及でデータセンター向けの高性能半導体の需要が爆発的に伸びており、最先端の製造技術を握るTSMCに注文が集中しています。累計で4割を超える増収は、AI投資の勢いがなお衰えていないことを示しています。
過熱への見方も
もっとも、AI関連投資をめぐっては過熱を懸念する声も出始めています。10月9日には、AI開発大手オープンAIの売上規模をめぐる観測から半導体株が売られる場面もありました。巨額の設備投資が将来の収益に見合うのかという疑問がくすぶるなか、TSMCの業績は業界全体の体温計として一段と重みを増しています。
日本への影響
TSMCの好調は、日本の半導体関連産業にとって大きな追い風です。TSMCは熊本県にソニーグループなどと共同で工場(JASM)を建設・稼働させており、九州を中心に雇用や関連投資を生み出しています。さらにTSMCの増産は、半導体製造装置で世界的な競争力を持つ東京エレクトロンやSCREENホールディングス、シリコンウエハーの信越化学工業やSUMCO、各種材料メーカーといった日本企業への発注増につながります。これらの企業の受注が伸びれば、業績の改善を通じて日経平均株価を押し上げる効果も見込まれます。半導体は日本政府が経済安全保障の要と位置づける分野であり、TSMCの拡大が日本の産業基盤の強化に波及するかどうかは、投資家にとっても注視すべき点だといえます。
まとめ:世界のAIを支える極小の半導体の裏側には、日本のものづくりの技術が深く結びついています。この追い風をどう生かすのか、注目していきたいですね。
出典:
TSMC SEC Form 6-K – September 2026 Revenue Report
CNBC – TSMC September sales hit another record as AI boom rolls on
Photo: Brian Wangenheim / Unsplash


