米長期金利の指標となる10年物国債の利回りが9月2日、一時4.81%台と2023年11月以来の高水準に達しました。財政赤字への懸念やインフレ再燃への警戒から、世界的に国債が売られる展開が続いています。
膨らむ財政赤字が金利を押し上げ
債券は利回りと価格が逆に動くため、利回りの上昇は国債が売られていることを意味します。今回の背景には、約2兆ドルに膨らんだ米連邦政府の財政赤字への不安があります。国が借金を増やせば国債の発行量も増え、買い手を引きつけるにはより高い利回りが必要になるという構図です。
インフレへの警戒も金利を押し上げています。中東情勢の緊迫化がエネルギー価格を通じて物価高を長引かせるとの見方が広がり、市場では今月の米連邦公開市場委員会での0.25%利上げの確率を約66%と織り込んでいます。ジャクソンホール会議でインフレ抑制への強い姿勢を示した米金融当局トップの発言も、金利観に影響しています。
大量の社債発行も需給を緩める
需給面の要因も無視できません。マイクロソフトやアマゾンといった巨大テック企業が今年これまでに合計2,200億ドル規模の社債を発行しており、こうした大量の起債が債券市場全体の需給を緩ませ、利回り上昇の一因になっています。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、今回の利回り上昇は市場の機能不全ではなく、あくまで力強い景気を反映したものだとの見解を示しました。
日本への影響
米長期金利の上昇は、日本の投資家や家計にも直接響いてきます。日米の金利差が広がれば、より高い利回りを求めてドルが買われ円が売られやすくなり、円安圧力が強まります。円安は輸入する原油や食料品、電気代の値上がりを通じて家計を圧迫する一方、トヨタ自動車やソニーグループといった輸出企業には追い風となり、日経平均を下支えする要因にもなります。
住宅ローンを検討している人にとっても人ごとではありません。米長期金利の上昇は世界の金利の基準となるため、日本の長期固定型の住宅ローン金利にも波及しやすく、フラット35などの金利が今後じわりと上がる可能性があります。日本銀行が国債買い入れの縮小を進めるなか、日本の10年債利回りも連動して上昇しやすい地合いにあり、変動型か固定型かの選択を含めて、借入計画を早めに見直しておくことが求められます。
まとめ:世界の「安全資産」であるはずの米国債が売られる異例の展開です。金利の動きは為替や住宅ローンを通じて私たちの生活に直結するだけに、目を離さずにいたいですね。
出典:
CNBC – 10-year Treasury yield hits highest level since November 2023
CNBC – What’s behind the surge in US government debt yields
Photo: Leo_Visions / Unsplash


