米SEC、株式の「トークン化」に道──ブロックチェーンで24時間取引が視野

テクノロジー

米証券取引委員会(SEC)は9月17日、上場株式をブロックチェーン上で扱う「トークン化株式」の二次取引を、条件付きで認める暫定措置を打ち出しました。株式のデジタル化に道が開かれたことで、24時間取引や小口での持ち分売買、決済の高速化が現実味を帯びてきます。発表を受け、関連銘柄のセキュリタイズやロビンフッドの株価が急騰しました。

5年間の期限付き「イノベーション例外」

今回の措置は「イノベーション例外(innovation exemption)」と呼ばれ、適格なプラットフォームが本物の上場株をトークン化して売買することを、5年間の期限付きで認める内容です。トークン化とは、株式などの資産を分割可能なデジタルの「証票」に置き換え、ブロックチェーン上で記録・移転できるようにする技術を指します。

24時間取引・小口売買・即時決済が視野に

この仕組みが広がれば、証券取引所の開場時間に縛られない24時間取引や、1株未満での購入、数日かかっていた決済の即時化が可能になるとされます。ただしSECの措置は恒久的な全面解禁ではなく、あくまで期限と制約を伴う実証的な枠組みである点に注意が必要です。

資産のトークン化を手がけるセキュリタイズのカルロス・ドミンゴCEOは「本物のトークン化株式を取引する道が開けた」と歓迎しました。従来、暗号資産の世界にとどまっていたブロックチェーン技術が、伝統的な株式市場の土台そのものを塗り替えようとしています。金融とテクノロジーの融合が、次の局面に入ったといえるのではないでしょうか。

日本への影響

米国での株式トークン化の解禁は、日本の投資家や金融業界にとっても他人事ではありません。将来的に米国株のトークン化が普及すれば、日本の個人投資家が時差を気にせず、深夜や早朝でも米国株を1株未満から売買できる時代が近づきます。これは、日中は仕事で相場を見られない働き手にとって、投資機会を広げる可能性を秘めています。国内でも、野村ホールディングスや三菱UFJ信託銀行などがすでに不動産や社債のデジタル証券(セキュリティトークン)の発行に取り組んでおり、大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)がセカンダリー市場を運営しています。米国の制度整備は、こうした日本の動きを後押しし、金融庁による規制の議論を加速させる契機になるとみられます。一方で、24時間取引は値動きの監視が難しくなる面もあり、投資家には従来以上にリスク管理の意識が求められます。新しい技術がもたらす利便性の裏で、詐欺的なトークンやシステム障害といった落とし穴にも目を配る慎重さが欠かせません。

まとめ:株式が「デジタルの証票」に姿を変える時代が、静かに始まろうとしています。技術がもたらす便利さと危うさの両面を、冷静に見極めていきたいですね。


出典:
CoinDesk – SEC opens door to tokenized U.S. stock trading
American Banker – SEC clears path for tokenized stock trading
CNBC – Securitize jumps after regulators greenlight tokenized U.S. stocks

Photo: Kelly Sikkema / Unsplash

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