国際刑事裁判所(ICC)の加盟国が、主任検察官のカリム・カーン氏を解任することを賛成多数で決めました。現職の主任検察官が解任されるのは、ICCの歴史で初めてです。女性補佐官への性的不正行為をめぐる調査で、重大な不正が認定されたことが決め手となりました。
82カ国が賛成、史上初の解任
決定は7月24日、加盟国で構成する締約国会議で下されました。ICCの加盟125カ国のうち82カ国が解任に賛成し、反対は13カ国、棄権は15カ国でした。イギリス人の法廷弁護士(バリスター)であるカーン氏は、女性補佐官に対する性的不正行為を告発されていましたが、一貫して疑惑を否定しています。
約2年に及んだ調査
疑惑をめぐる経緯は約2年に及びます。カーン氏は2025年5月、国連の内部監査部門(OIOS)が調査を進める間、職務を一時的に離れました。ICCは2026年6月に同氏を停職処分とし、7月24日の投票を待つ形となっていました。今回の解任決定に対し、カーン氏は「決定に異議を申し立てる」と表明しています。
組織の信頼性が問われる
ICCは戦争犯罪や人道に対する罪などを裁く常設の国際法廷です。主任検察官は捜査と訴追の指揮を執る中核的な立場にあり、その解任は組織の信頼性に直結します。後任にはマメ・マンディアイ・ニアン氏が就くと報じられており、係争中の重大事件の行方にも影響が及ぶ可能性があります。
日本への影響
日本はICCの重要な加盟国であり、この解任劇は無関係ではありません。日本はICCの活動を支える有力な財政貢献国のひとつであり、日本人の赤根智子氏が裁判官を務めるなど人的にも深く関わってきました。国際法の秩序を重んじる立場から、日本政府はICCの透明性ある運営と信頼回復の行方を注視することになります。組織のガバナンス(統治)が問われる今回の事態は、日本が国際司法にどう関与していくかを改めて考えさせる契機ともなります。
より広く見れば、法の支配を掲げる国際機関の揺らぎは、ルールに基づく国際秩序全体への信頼にも影響します。日本は「法の支配」を外交の柱に据えてきただけに、ICCが不祥事を乗り越えて機能を維持できるかどうかは、日本の国益にも関わる問題です。国際ニュースに関心を持つ読者としては、遠い法廷の出来事が日本の外交姿勢とつながっていることを意識しておきたいところです。
まとめ:国際司法の要が揺れる異例の事態です。日本の関与も含め、ICCの信頼回復に向けた動きを見守っていきましょう。
出典:
NPR – ICC member states vote to remove chief prosecutor Karim Khan
CNN – ICC member states vote to dismiss chief prosecutor Khan
UN News – International Criminal Court Prosecutor Karim Khan dismissed
Photo: Brad Weaver / Unsplash


