これまで地政学リスクの高まりで買われてきた金(ゴールド)が、6週間ぶりとなる大幅な週間下落を記録しました。米国とイランの衝突で原油価格が急騰し、インフレ再燃と米利上げ観測が強まったことが、皮肉にも安全資産である金の重荷となっています。
6週ぶりの大幅な週間下落
金の現物価格は先週、約6週間ぶりの大きな週間下落となりました。一時は7月1日以来の安値をつける場面もあり、直近では1オンス=4,015ドル前後で推移しています。地政学的な緊張が続くなかでの金安は、市場の力学が複雑に絡み合っていることを示しています。
原油急騰がインフレ観測を刺激
金が売られた背景には、原油価格の急騰があります。米国とイランの衝突が激化するなか、原油は先週だけで約12%上昇し、北海ブレント原油は1バレル=84ドル超、米国産WTI原油も78ドル超で取引されました。エネルギー高はインフレ圧力を高め、米国の利上げの可能性を強めます。
金利先高観が「有事の金」に勝る
利上げ観測は米国債利回りの上昇につながります。金は利子を生まない資産のため、金利が上がると相対的な魅力が薄れ、売られやすくなります。中東の緊張という買い材料と、利上げ観測という売り材料がせめぎ合った結果、今回は金利先高観が勝った形です。米財務省がイラン産原油に対する60日間の制裁猶予を7月17日に打ち切ったことも、供給不安に拍車をかけています。
日本への影響
金価格の変動は、日本の個人投資家にとっても身近な問題です。近年は資産防衛や分散投資の一環として金地金や金ETFを保有する動きが広がっていますが、今回のように「有事の金」が必ずしも上がるとは限らない現実を、改めて突きつけられた形です。ドル建ての金価格が下落しても、円安が進めば円建ての国内金価格は下がりにくいという二重構造もあり、日本の読者は為替と金価格の両面から値動きを見極める必要があります。
より広い視点では、原油高が続けば日本経済への打撃は避けられません。日本は原油のほぼ全量を輸入に頼っており、1バレル80ドル超の水準が定着すればガソリンや電気代の上昇を通じて家計と企業収益を圧迫します。日本の読者としては、エネルギー高とインフレが長期化する前提で生活防衛を考えるとともに、金や資源関連への投資判断は目先の値動きだけでなく、金利や為替の大きな流れを踏まえて慎重に行うことが求められます。
まとめ:中東の緊張下でも金が売られたことは、市場を動かすのは地政学だけではないという教訓を示しています。日本の読者も、原油高と金利の行方を見据えながら、冷静な資産管理を心がけていきたいところです。
出典:
CNBC – Gold heads for biggest weekly loss in six
CNBC – Treasury yields rise amid mounting U.S.-Iran tensions
Wikipedia – Economic impact of the 2026 Iran war
Photo: Kanchanara / Unsplash


