半導体大手AMDが、米サンフランシスコで開いた自社イベント「Advancing AI 2026」で、AI(人工知能)向けの新製品群を一挙に発表しました。最新GPU「Instinct MI400」シリーズやサーバー用CPU「EPYC Venice」などを投入し、独走するエヌビディアへの本格的な挑戦を鮮明にしています。
最新GPU「MI400」を発表
AMDが7月22〜23日に開催したイベントでは、データセンター向けを中心に幅広い新製品が披露されました。目玉となったのが、AIの計算処理を担う最新GPU「Instinct MI400」シリーズです。GPUとは画像処理から派生した高速演算プロセッサーで、大規模言語モデルなどAIの学習・推論に欠かせない中核部品となっています。上位モデル「MI455X」は、同社史上もっとも高性能な製品と位置づけられています。
2ナノのCPUとHeliosラック
同時に発表されたサーバー用CPU「EPYC Venice(第6世代)」は、台湾積体電路製造(TSMC)の2ナノメートル製造プロセスを採用した初のx86サーバー向けCPUとされます。さらに、複数のGPUをまとめて動かす「Helios」ラックは、高速メモリーHBM4を31テラバイト搭載し、競合製品に比べて1ドルあたりの推論処理量を最大30%高められるとうたっています。
2兆ドル市場でエヌビディアに挑戦
AMDが狙うのは、2兆ドル規模に成長するとされるAIコンピューティング市場です。この分野では現在エヌビディアが7〜8割のシェアを握って独走していますが、AMDは価格性能比を武器に切り崩しを図る構えです。AI投資が世界的に過熱するなか、有力な対抗馬の登場は、半導体業界の勢力図を塗り替える可能性を秘めています。
日本への影響
AMDの攻勢は、日本の半導体関連企業やAI活用を進める企業にとって見逃せない動きです。AI用半導体の供給元がエヌビディア一強から複数社に広がれば、価格競争が働き、データセンターやAIサービスを構築する際のコスト低下が期待できます。国内でAI開発を進めるソフトバンクグループや、クラウド事業を展開するさくらインターネットなどにとっては、選択肢の拡大は追い風となり得ます。
また、AMDが最先端の2ナノ品でTSMCに製造を委託する構図は、日本が誘致に力を入れる半導体産業にとっても示唆に富みます。TSMCは熊本県に工場を展開し、ラピダスも北海道で2ナノ世代の量産を目指しており、こうした先端チップの需要拡大は国内投資を後押しする材料となります。日本の投資家としては、東京エレクトロンやアドバンテストといった製造装置・検査装置メーカーの受注が、AI半導体の勢力争いによってどう変化するかに注目することが求められます。
まとめ:AI半導体の主役はエヌビディアだけではありません。競争の激化が、めぐりめぐって私たちのAI活用コストを下げる可能性に注目です。
出典:
Bloomberg – AMD Unveils New Products in Pursuit of $2 Trillion Market
AMD – AAI 2026 Press Release
Photo: Vishnu Mohanan / Unsplash


