米連邦通信委員会(FCC=通信分野を管轄する米政府機関)は、新たに輸入される外国製のヒト型ロボットと四足歩行ロボットの認証を認めない方針を打ち出しました。安全保障上のリスクを理由とした事実上の禁輸措置で、世界市場の約85%を握る中国製が主な標的となります。米中の技術対立が、ついにロボット分野にも及んできました。
ヒト型とロボット犬が対象
FCCが今回打ち出したのは、外国製の高度なロボットを新たに輸入・認証することを制限する措置です。対象には、人間のような姿で作業する「ヒト型ロボット」に加え、四本足で歩く「四足歩行ロボット(ロボット犬とも呼ばれる)」も含まれます。ネットに接続されたロボットが、サイバー面や情報流出の観点で安全保障上のリスクをもたらしうる、というのが理由です。
既存モデルは販売可、新型は認証不可
この判断は、ホワイトハウスが招集した省庁横断の組織が下した安全保障上の認定に基づいています。インターネットにつながったロボットが、データのプライバシーやシステムの弱点を突かれる恐れがあると警告しました。措置は「カバードリスト」と呼ばれる規制対象の指定として運用され、新たに認証を求める機種が対象となります。すでに販売されている既存モデルは引き続き使えますが、新型は認証を受けられなくなります。
中国は「保護主義」と反発
影響が大きいのは、ヒト型ロボット市場で約85%という圧倒的なシェアを持つ中国です。中国政府はただちに「保護主義だ」と反発しました。9月に予定される中国の習近平国家主席の訪米とトランプ大統領との会談を前に、今回の措置は米中関係を一段と揺さぶる火種となりそうです。FCCは同時に、外国製の電力変換装置(パワーインバーター)の輸入も制限対象としました。技術覇権を巡る米中の攻防が、新たな段階に入ったといえます。
日本への影響
米国による中国製ロボットの締め出しは、日本のロボット産業にとって追い風と逆風の両面を持ちます。米国が中国製を排除すれば、ファナックや安川電機、川崎重工業といった日本のロボットメーカーにとって、米国市場でのシェア拡大の好機となります。産業用ロボットで高い技術力を持つ日本勢が、ヒト型ロボットの分野でも存在感を高められるかどうかが問われます。一方で、日本企業の多くは部品調達や生産で中国と深く結びついており、米中対立の激化はサプライチェーンの分断リスクを高めます。
日本政府も経済安全保障の観点から、重要技術の管理を強化する流れにあります。今回の米国の措置は、日本が同様の規制を検討するうえでの試金石となります。ネット接続機器の安全性への関心が世界的に高まるなか、日本の読者にとっても、家庭やオフィスに入り込むロボットや家電のセキュリティを意識することが、これからますます重要になると考えられます。
まとめ:便利なロボットも、つながる時代には安全保障の課題を抱えます。技術と安全のバランスに目を向けていきましょう。
出典:
NBC News – US bans foreign-made humanoid robots
CNN Business – US-China robot ban
NPR – China opposes FCC ban on foreign-made robots
Photo: C M / Unsplash


