半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は、最先端の製造技術「A16」を2026年後半に量産すると明らかにした。回路線幅1.6ナノメートル(nm、10億分の1メートル)相当の次世代プロセスで、「世界最速のチップ」をめぐりインテルとの全面対決が現実味を帯びてきた。
AI向けチップが最初の採用先に
A16は、電流の流れを精密に制御する「ナノシート型トランジスタ」と、チップ裏側から電力を供給する「バックサイド・パワーレール」と呼ばれる革新技術を組み合わせる。これにより、性能と電力効率を大きく高められるという。TSMC幹部は、最初の採用先はスマートフォンではなく、AI(人工知能)向けチップのメーカーになるとの見方を示した。
インテル「14A」との頂上決戦
注目されるのは、インテルとの技術競争だ。インテルは2026年2月、「14A」と呼ぶ新技術で「世界最速のチップ」生産でTSMCを追い抜くと宣言していた。両社の最先端プロセスがそろって2026年に登場することで、半導体製造の主導権争いは新たな局面に入る。
両社の戦略の違いも鮮明だ。インテルは、1台あたり約3億7,300万ドルとされるオランダASML製の最新露光装置「High NA EUV」をいち早く導入する計画だ。これに対しTSMCは、A16の製造に同装置は必要ないとの立場を取る。巨額の設備投資をどう抑えるかも、勝敗を分ける鍵となる。
日本への影響
TSMCとインテルの微細化競争は、日本の半導体産業にとって商機と課題の両面をもたらす。最先端プロセスの量産には、東京エレクトロンのエッチング装置やSCREENの洗浄装置、信越化学工業やSUMCOのシリコンウエハーなど、日本企業が世界シェアを握る部材・装置が欠かせない。A16の量産拡大は、これら関連銘柄の受注を押し上げ、日経平均にも波及しうる。
国家戦略の観点でも見逃せない。TSMCは熊本に工場を構え、ラピダスは北海道で2nm世代の量産を目指している。世界の最先端が1.6nm競争に入るなか、日本が国を挙げて進める半導体復権の取り組みが、世界水準に追いつけるかが問われている。投資家にとっては、装置・材料メーカーの決算や設備投資計画を丁寧に追うことが、有望銘柄を見極めるうえで求められます。
まとめ:1.6nmをめぐる頂上決戦は、日本の装置・材料メーカーにとっても大きな追い風となりそうです。
出典:
Yahoo Finance – TSMC says ‘A16’ chipmaking tech to arrive in 2026
South China Morning Post – TSMC A16 showdown with Intel
Photo: Florian Olivo / Unsplash

