偽の「復旧業者」が身代金横取り──ランサム攻撃の新手口

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サイバー攻撃の被害者に「盗まれたデータを取り戻せる」と持ちかけ、金銭をだまし取ろうとする新たな手口が確認されました。「ランサム・バスターズ」を名乗る何者かが、正規の復旧支援業者を装って企業に接触しています。専門家は、その正体をランサムウェア攻撃の実行犯側とみて警戒を呼びかけています。

「復旧業者」を装うメール攻撃

ランサムウェアとは、企業のデータを暗号化して使えなくし、復旧と引き換えに身代金を要求する攻撃です。今回問題となっているのは、その被害企業に対し「Ransom Busters LTD(ランサム・バスターズ社)」を名乗る主体が、経営者やIT責任者宛てにメールを送りつける手口です。

この主体は「犯罪者のランサムウェア用サーバーに侵入し、御社から盗まれたデータを見つけた」と主張し、ファイルの返還と、攻撃者側が保持するバックアップの削除を代行すると持ちかけます。その対価として2万ドルから6万ドルの支払いを求めていたとされます。米セキュリティ企業ガイドポイント・セキュリティの調査チーム「GRIT」は、この「復旧業者」の正体を、既存のランサムウェア組織から身代金を横取りしようとする攻撃実行犯(アフィリエイト)だと中程度の確度で分析しています。

未公開の攻撃を把握する不気味さ

とりわけ深刻なのは、この主体が「まだ公になっていない攻撃」を事前に把握している点です。これは、犯罪インフラそのものへ直接アクセスできることを示唆し、単に公開情報を狙う便乗詐欺より一段悪質だといえます。GRITは、実際に支払いに応じた被害者は確認されていないとしたうえで、金銭を払わないよう強く助言しています。この活動は「ドラゴンフォース」「セトラ」「アヌビス」といった既知のランサムウェア組織に関連する侵入に対応するなかで観測されました。

日本への影響

この新手口は、日本企業にとっても他人事ではありません。国内でも製造業や医療機関、自治体などがランサムウェア被害を受ける例が相次いでおり、「善意の復旧業者」を装った二次被害の危険は十分に想定されます。攻撃を受けて動揺しているところに救いの手を差し伸べる形で近づくため、経営者やシステム担当者ほど冷静な判断を奪われやすいのが特徴です。

日本の企業に求められるのは、被害発覚時の連絡・対応の手順をあらかじめ定め、外部業者を名乗る接触があっても社内の窓口で真偽を確かめる体制を整えておくことです。個人の読者にとっても、身代金の要求はもちろん、「取り戻してあげる」という甘い誘いにも応じないという原則を知っておくだけで、被害の拡大を防ぐ助けになります。困ったときは、警察庁のサイバー犯罪相談窓口や情報処理推進機構(IPA)といった公的機関に相談することが確実な一歩となります。

まとめ:攻撃者は、被害者の焦りにつけ込みます。「助けます」という言葉ほど、立ち止まって疑う冷静さが身を守ります。


出典:
BleepingComputer – Rogue ransomware affiliate ‘Ransom Busters’ poses as recovery firm
The Hacker News – Ransom Busters Claims It Hacked Ransomware Servers
GBHackers – Ransom Busters Ransomware Affiliate Targets Victims With Fake Data Recovery Extortion

Photo: Akin Cakiner / Unsplash

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