米「21世紀ROAD住宅法」成立──トランプ大統領の署名なしで異例の発効

経済・金融

米国で住宅取得の負担軽減を目指す超党派の「21世紀ROAD住宅法」が7月11日に成立しました。トランプ大統領が署名を拒否したものの、拒否権も行使しなかったため、憲法の規定に従って自動的に法律となる異例の展開となりました。

署名式は取りやめ、抗議の意思表示

今回成立したのは「21世紀ROAD住宅法(21st Century ROAD to Housing Act)」と呼ばれる法案です。議会は先月、圧倒的な賛成多数でこの法案を可決していました。法案は6月29日に大統領へ送付され、日曜を除く10日間の待機期間に入っていました。米憲法では、この期間に大統領が署名も拒否権行使もしなければ、法案は自動的に成立します。

トランプ大統領は署名式を取りやめ、SNS「トゥルース・ソーシャル」で「上院が『SAVEアメリカ法』を可決できないことへの抗議として署名しない」と表明しました。SAVEアメリカ法は有権者の本人確認を義務づける法案で、上院で可決に必要な票を得られていません。

供給拡大と投機抑制が柱

法律の柱は、地方自治体に住宅供給の拡大を促す仕組みです。複雑な環境審査手続きを簡素化し、信用組合や銀行が住宅ローンを提供しやすくするほか、工場で規格生産する「モジュラー住宅」の普及を後押しします。さらに、大手の法人投資家が一戸建て住宅を大量に買い占めることを制限する規定も盛り込まれました。

日本への影響

米国の住宅政策は、日本の投資家や企業にとっても無関係ではありません。積水ハウスや住友林業といった日本の住宅メーカーは米国市場で事業を拡大しており、住宅着工が増える環境が整えば、現地での販売機会が広がる可能性があります。木材やモジュラー住宅の需要が高まれば、日本の建材・部材メーカーにも波及効果が見込まれます。

一方で、住宅供給の拡大は米国の家賃や住宅価格の上昇圧力を和らげ、インフレの落ち着きにつながる可能性があります。米国のインフレ鈍化はFRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策を通じて為替相場に影響し、足元で1ドル160円台が続く円安の行方にも関わってきます。米国の住宅市況は巡り巡って日本の家計の輸入物価にも響くため、投資家は今後の住宅着工統計を丁寧に追う姿勢が求められます。

まとめ:政治の対立が続くなかでも、住宅という生活の土台を支える法律が動き出しました。日本の読者にとっても、米国の住宅市場は身近な変化として注目したいところです。


出典:
NPR – Housing bill becomes law without Trump signature
NBC News – Landmark housing bill
PBS News – What’s in the housing affordability bill

Photo: Akshit Jhanwar / Unsplash

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