米連邦準備制度理事会(FRB=米国の中央銀行にあたる組織)が発表した5月の消費者信用残高は、前月から約1億8000万ドル減少しました。4月に208億ドル増えていた反動で、クレジットカードなどの回転信用が縮小したことが響いています。インフレ長期化のなか、米国の家計が借り入れに慎重になっている兆しといえます。
4月の急増から一転
米消費者信用(家計が抱えるローンやカード債務の残高)は、5月に前月比で約1億8000万ドル減少しました。4月には208億ドル増えていただけに、市場では消費の勢いが鈍った証左として受け止められています。とりわけクレジットカード債務を含む「回転信用」は1兆3500億ドルから1兆3400億ドルへと減り、短期の借り入れ意欲が弱まっていることを示しました。
自動車・学生ローンは底堅さ
一方で、自動車ローンや学生ローンを含む「非回転信用」は3兆8000億ドルから3兆8100億ドルへとわずかに増えました。家計は日常的なカード利用を絞る一方、大型の耐久財や教育向けの借り入れは維持しているとみられます。インフレで生活費がかさむなか、支出の優先順位を切り替えている構図がうかがえます。
物価高が家計を圧迫
背景には、5月の消費者物価指数(CPI)が前年比4.2%上昇し、約3年ぶりの高い伸びとなったことがあります。エネルギー価格の高騰が家計の実質的な購買力を削り、借り入れに頼りにくい環境をつくっています。堅調とされてきた米国の個人消費に、変化の兆しが表れ始めています。
日本への影響
米国の消費減速は、対米輸出に依存する日本企業にとって見過ごせない材料です。トヨタ自動車やソニーグループをはじめ、米国市場で稼ぐ日本企業は多く、現地の家計が財布のひもを締めれば自動車や家電の販売に影響が及びます。米消費の失速が確認されれば、輸出関連銘柄を中心に日経平均が下押しされる可能性があり、投資家は米国の経済指標を注視する必要があります。
為替の面では、米消費の鈍化がFRBの利下げ観測を強めればドル安・円高に振れやすくなります。足元では1ドル160円台の歴史的な円安が続いていますが、米景気の減速が円安の修正につながれば、輸入物価の落ち着きを通じて日本の家計にも恩恵が及ぶ可能性があります。米国の消費動向は巡り巡って私たちの暮らしに響くため、月次の統計を丁寧に追う姿勢が求められます。
まとめ:米国の家計にも節約志向が広がり始めています。日本の投資家と家計にとって、対岸の火事ではなく身近な変化として捉えたいところです。
出典:
Federal Reserve – Consumer Credit G.19
Trading Economics – US Consumer Credit
U.S. Bureau of Labor Statistics – CPI Summary
Photo: Vitaly Gariev / Unsplash


