米国の長期金利が急上昇しています。指標となる30年物米国債の利回りは、世界金融危機の直前だった2007年7月以来、約19年ぶりの高さとなる5.24%に達しました。積み上がる財政赤字とインフレへの警戒感が背景にあり、その影響は日本を含む世界の債券市場に広がっています。
19年ぶりの高水準に到達
米国債とは、米政府が資金を借り入れるために発行する債券で、世界で最も安全な資産のひとつとされます。その利回り(金利)が上がるということは、裏返せば債券価格が下がっていることを意味し、投資家が米国債を売っている状態を示します。7月29日に米連邦準備制度理事会(FRB、米国の中央銀行)が政策金利を年3.5〜3.75%に据え置くと、30年債利回りは一時10.5ベーシスポイント(0.105%)上昇して5.20%を突破し、その後5.24%まで駆け上がりました。
財政赤字とインフレへの不安
利回り上昇の理由は複合的です。ひとつはFRBが利下げに慎重な「タカ派」の姿勢を崩さず、当面は金利を高い水準で維持するとの見方が強まったこと。もうひとつは、根強いインフレと、拡大を続ける米国の財政赤字への不安です。国が大量の国債を発行し続ければ供給過多となり、買い手を集めるにはより高い利回りを提示せざるを得なくなります。
株式市場にも波及
この債券売りは米国内にとどまりません。10年物米国債の利回りも4.7%を上回り、2025年1月以来の高水準をつけました。金利上昇は住宅ローンや企業の借入コストを押し上げるため、株式市場にも重しとなります。実際、長期金利の上昇はハイテク株を中心とする株価の重荷となり、市場全体に不安定さをもたらしています。
日本への影響
米長期金利の上昇は、日本の投資家や家計にも直接響いてきます。日米の金利差が拡大すれば、より高い利回りを求めて円を売りドルを買う動きが強まり、円安が進みやすくなります。円安は輸入物価を押し上げ、ガソリンや食料品など生活必需品の値上がりを通じて家計を圧迫する一方、トヨタ自動車やソニーグループといった輸出企業には追い風となり、日経平均株価を下支えする側面もあります。
日本銀行の金融政策にとっても、米金利の動向は無視できません。米国の高金利が続けば円安圧力が強まり、日銀は物価と為替の両にらみで難しい舵取りを迫られます。個人にとっては、米国債や米国株に投資する際、金利上昇局面では債券価格が下落しうる点に注意が必要です。新NISAなどで海外資産を持つ人は、為替と金利の両方が資産価値を左右することを改めて意識しておきたいところです。
まとめ:19年ぶりの高金利は、世界のお金の流れが変わりつつある兆しです。円相場と自分の資産への影響を、落ち着いて見極めていきましょう。
出典:
CNBC – 30-year Treasury yield hits highest level since 2007
Bloomberg/Yahoo Finance – US 30-Year Yield Hits Highest Since 2007
Yahoo Finance – 30-year Treasury yield breaks to highest level in almost 20 years
Photo: Ishant Mishra / Unsplash


