中国の半導体メーカー、長鑫存儲技術(CXMT)が、第5世代のDRAM(データを一時的に記憶する半導体メモリ)「G5」の量産を始めたと発表しました。最先端の露光装置を使わずに微細化を進めた点が注目を集めており、韓国や米国のメモリ大手を追い上げる動きとして波紋を広げています。
合肥の製造大会で量産開始を発表
CXMTは9月20日、安徽省合肥市で開かれた「世界製造業大会」で、第5世代DRAM技術基盤「G5」が量産段階に入ったと発表しました。データを記憶する部分の回路間隔を11.95ナノメートル(ナノは10億分の1)まで縮小したとしています。
EUVを使わず微細化を達成
最大の特徴は、この微細化を最先端のEUV(極端紫外線)露光装置を使わずに達成した点です。同社は「クアッドパターニング」と呼ばれる、製造工程を複数回繰り返して微細な回路を描く技術を用いました。米国が対中輸出規制でEUV装置の供給を止めているなか、規制の壁を回避して先端メモリを製造できることを示した形です。ウエハー1枚から取れるチップの数は、従来の第4世代品と比べて5割以上増えるとされます。
CXMTはあわせて、G5基盤で製造した24ギガビットの「LPDDR5X」製品2種類も公開しました。市場調査会社トレンドフォースによると、同社は4-6月期の世界DRAM売上高で9.5%のシェアを握り、サムスン電子、SKハイニックス、マイクロン・テクノロジーに次ぐ4位に位置しています。中国勢の台頭は、これまで3社が寡占してきたメモリ市場の構図を揺さぶる可能性があります。
日本への影響
CXMTの躍進は、日本の半導体産業に複雑な影響を及ぼします。まず、DRAM市場でシェアを争うのは韓国と米国の企業ですが、日本には東京エレクトロンやスクリーンホールディングスといった、製造装置で世界をリードする企業が数多く存在します。中国メモリ大手の増産は、EUV以外の露光・洗浄・エッチング装置への需要を押し上げ、こうした日本の装置メーカーにとっては商機となる一面があります。一方で、中国製の安価なメモリが市場に大量供給されれば、DRAM価格が下落し、キオクシアなど日本のメモリ関連企業の収益を圧迫するリスクもあります。さらに、米国の対中輸出規制が今後さらに強化されれば、日本企業も対中取引の制限を求められる可能性があり、経営判断が難しくなります。日本の読者にとっては、半導体をめぐる米中の技術覇権争いが、日本の産業競争力と株式市場に直結するテーマであることを意識しておく必要があります。
まとめ:中国勢の技術的な追い上げは、半導体をめぐる世界の勢力図を確実に塗り替えつつあります。日本企業がこの荒波のなかでどう立ち位置を築くのか、注意深く見守っていきたいですね。
出典:
Global Times – CXMT 5th-generation memory-chip platform enters mass production
Seoul Economic Daily – China’s CXMT starts mass production on 5th-generation DRAM
Eastern Herald – CXMT G5 DRAM mass production at 11.95nm
Photo: BoliviaInteligente / Unsplash


