AI半導体をつなぐ配線を、電気ではなく「光」に置き換える技術で注目される米新興企業アヤーラボ(Ayar Labs)が、追加で1億5,000万ドル(約220億円)を調達したと発表しました。これで2026年の調達総額は6億5,000万ドルに達し、量産体制の構築を急ぎます。
電気配線の限界を「光」で超える
アヤーラボが手がけるのは「co-packaged optics(CPO、共封止光学)」と呼ばれる技術です。AIチップ同士がやり取りする膨大なデータを、従来の銅の電気配線ではなく光を使って伝送する仕組みで、消費電力を抑えつつ、より大規模なAIチップの集積を可能にします。
同社のマーク・ウェイドCEO(最高経営責任者)は「銅の配線が、AIの規模拡大の限界要因になりつつある」と述べ、光技術こそが次世代AIインフラの鍵だと強調しています。今回の資金は、大量生産への移行や製品開発、検証、そしてインドのベンガルールに新設する設計拠点の開設に充てられます。
エヌビディアやAMDも出資
アヤーラボの強みは、その顔ぶれの豪華さにもあります。戦略的な出資者には、エヌビディア(NVIDIA)、AMD、インテルという半導体大手に加え、台湾のAlchipやMediaTekが名を連ねています。さらに、投資会社アルティザン・パートナーズ傘下のアンテロ・ピーク・グループが主導した2億2,500万ドルの株式取得により、同社の評価額は50億ドルを超え、3月のシリーズE調達時点の37億5,000万ドルから大きく切り上がりました。
日本への影響
光でチップをつなぐ技術の台頭は、日本の半導体・光関連産業にとって大きな商機となります。実は日本は、光通信部品や光ファイバー、精密な光学部品の分野で世界的に高い競争力を持っており、CPOの普及は関連企業の追い風になり得ます。たとえば、光通信部品の古河電気工業やフジクラ、住友電気工業、光学ガラスのHOYAといった企業は、光と電気の変換や高精度な実装技術で存在感を発揮しています。AIデータセンターが電力の壁にぶつかるなか、省電力で大量のデータを運べる光技術への移行は避けられない流れであり、この分野に強い日本企業には収益拡大のチャンスが広がります。個人投資家にとっても、AI相場を「エヌビディア一辺倒」で捉えるのではなく、光部品という「縁の下の力持ち」に目を向ける視点が有効です。日本の読者としては、AIの進化が半導体そのものだけでなく、それをつなぐ配線技術にまで競争を広げている点に注目しておく価値があります。
まとめ:AIの成長は今、チップの性能だけでなく「チップをどうつなぐか」で決まりつつあります。日本が得意とする光技術が、この新たな主戦場で輝けるかどうかに注目です。
出典:
SiliconANGLE – Ayar Labs bags $150M in additional Series E funding
Unite.AI – Ayar Labs Secures Additional $150M, Lifting 2026 Capital to $650M
HPCwire – Ayar Labs Brings 2026 Funding to $650M for CPO Manufacturing
Photo: Google DeepMind / Unsplash


