蘭ASML、四半期売上1.7兆円の最高益──AI需要で通期見通し上方修正

テクノロジー

半導体の製造装置で世界最大手のオランダ企業ASML(エーエスエムエル)が10月14日に発表した7〜9月期決算は、売上高が過去最高の116億6200万ユーロ(約1.7兆円)となりました。人工知能(AI)向け半導体の需要が装置の販売を押し上げ、通期見通しを再び上方修正しました。

売上・利益ともに過去最高圏

7〜9月期の売上高は前年同期比55.2%増の116億6200万ユーロで、会社予想のレンジの上半分に収まりました。純利益は133.5%増の49億6000万ユーロ(約7300億円)に拡大し、売上高に対する粗利益率は57.5%と直近8四半期で最も高い水準となりました。出荷した露光装置は121台で、このうち最先端のEUV(極端紫外線)露光装置は17台にのぼりました。

AI需要で通期見通しを引き上げ

ASMLは2026年通期の売上高見通しを440億〜450億ユーロへと引き上げました。7月時点の430億〜450億ユーロからさらに上方修正した形で、AIブームを背景に装置需要が力強く続いていることを示しています。10〜12月期の売上高は142億〜152億ユーロを見込んでいます。同社は供給能力の増強にも乗り出し、低NA(開口数)のEUV装置とDUV(深紫外線)液浸装置の生産能力をそれぞれ3割引き上げる計画です。

中国向けは比率が大幅低下

地域別では、中国向けが装置売上高に占める比率が23%と、前年同期の42%から大きく低下しました。米国の輸出規制が背景にあり、ASMLは2026年通期で中国向けがサービスを含めた事業全体の約2割になると見込んでいます。それでも中国以外の地域への出荷がほぼ倍増し、全体の成長を支えました。

日本への影響

ASMLの好決算は、半導体の製造装置を手がける日本企業にとって明るい材料です。ASMLが露光装置の増産に動けば、その装置に使われる部品や周辺装置を供給する東京エレクトロンやレーザーテック、SCREENホールディングスといった日本勢にも恩恵が波及します。AI向け半導体の需要が衰えていないことが改めて示され、半導体関連株を多く含む日経平均株価の下支え要因となる可能性があります。一方で、前日の米国市場ではハイテク株が売られており、半導体セクターは好決算と金利高への警戒が綱引きする展開です。中国向け販売の比率低下は、米中対立が装置産業の地図を塗り替えつつある現実を映し出しており、中国市場への依存度が高い日本の一部企業にとっては注意すべき動きです。日本の投資家は、AI需要という追い風と地政学リスクという逆風を見比べながら、半導体関連の投資判断を慎重に行う姿勢が求められます。

まとめ:半導体装置の巨人の決算は、AI時代の勢いを映す鏡です。好調の裏にある米中対立の影も含め、産業の行方を見つめていきたいところです。


出典:
https://www.stocktitan.net/articles/asml-q3-2026-earnings-ai-chip-machine-demand
https://www.investing.com/news/earnings/asml-raises-capacity-plans-as-ai-demand-drives-record-q3-sales-4948020

Photo: Brecht Corbeel / Unsplash

タイトルとURLをコピーしました