経営破綻した中国不動産大手・恒大集団(エバーグランデ)の創業者、許家印(ホイ・カーイン)氏(67)が、詐欺と贈収賄の罪で終身刑を言い渡されました。深圳の裁判所が8月20日に判決を下したもので、資産の水増しと3,000億ドル(約44兆円)超に上る負債の隠蔽が認定されました。中国の不動産バブル崩壊を象徴する巨大企業の栄枯盛衰は、創業者への終身刑という形で一つの区切りを迎えました。
資産水増しと負債隠蔽が認定
許氏は、恒大の資産を実態以上に大きく見せかけ、巨額の負債を隠していたとして有罪となりました。裁判所は終身刑に加え、政治的権利の終身剥奪も言い渡しました。恒大には88億2,000万元(約13億ドル)、中国本土の事業会社である恒大地産にも70億元の罰金が科されました。許氏の2人の息子や恒大の幹部らも、あわせて処罰を受けました。
恒大は2020年、中国当局が不動産業界の過剰債務に規制のメスを入れたことをきっかけに資金繰りが悪化し、3,000億ドルを超える負債を抱えて破綻しました。世界で最も負債の多い不動産開発会社と呼ばれ、その崩壊は中国経済全体に深い傷を残しました。数百万戸ともいわれる建設途中の住宅が宙に浮き、購入者や取引先、投資家に連鎖的な打撃が広がりました。
処罰しても残る構造問題
今回の終身刑は、中国政府が不動産バブルの後始末に厳しい姿勢で臨む意思を内外に示すものです。ただ、経営者を処罰しても、積み上がった負債や未完成物件の問題がただちに解決するわけではありません。中国の不動産不況は依然として続いており、内需の低迷や地方財政の悪化といった構造的な課題が、中国経済の重しであり続けています。
日本への影響
中国経済の減速は、日本企業の業績に直接響く問題です。中国は日本にとって最大の貿易相手国であり、不動産不況で個人消費や設備投資が冷え込めば、建設機械のコマツや日立建機、化学や電子部品、日用品や化粧品を中国で展開する企業まで、幅広い分野で需要が細る恐れがあります。訪日中国人観光客の消費、いわゆるインバウンドの動向にも影を落としかねません。
金融市場を通じた影響も見逃せません。中国経済への不安が強まると、投資家がリスクを避ける動きから、安全資産とされる円が買われて円高に振れる場面があります。円高は輸出企業の採算を圧迫する一方、輸入物価を下げる効果もあります。日本の投資家としては、中国関連の売上比率が高い銘柄の業績を注視するとともに、中国の不動産統計や消費指標を定期的に確認し、隣の大国の変調が自分の資産にどう波及するのかを冷静に見極めることが求められます。
まとめ:一代で巨大企業を築いた創業者の終身刑は、バブルの代償の重さを物語っています。隣国の経済の行方が、私たちの暮らしとつながっていることを忘れずにいたいですね。
出典:
SCMP – Evergrande founder Hui Ka-yan sentenced to life
NPR – Chinese court sentences founder of Evergrande to life
CNN – Evergrande founder Hui Ka Yan sentenced to life in prison
Photo: Richard Tao / Unsplash


