家庭用ルーター大手の中国系メーカーTPリンク(TP-Link)をめぐり、米国の複数の州が、製品の安全性や中国企業との関係について消費者を誤認させたとして相次いで提訴しました。報道によると10月6日にフロリダ、アイオワ、モンタナ、ネブラスカの4州が訴えを起こし、2月に提訴したテキサス州と合わせて計5州となっています。
州が問題視する点
各州の訴えは、TPリンクが自社ルーターの安全性や、中国企業「TPリンク・テクノロジーズ」からの分離について、購入者に誤った印象を与えたと主張しています。TPリンクは安価で高機能な製品を武器に世界的に高いシェアを握りますが、米国では安全保障上のリスクが繰り返し指摘されてきました。
中国の法制度への懸念
訴えが焦点を当てているのは、実際に情報漏洩があったという証拠ではなく、中国の法律のもとで中国政府がデータにアクセスできる「リスク」です。中国では企業が当局の情報提供要請に応じる義務を負うとされ、通信機器を通じて利用者のデータが流出しうるとの懸念が根強くあります。TPリンク側は、こうした主張を否定しています。
広がる規制の動き
米政府はかねて、安全保障を理由に中国製の通信機器への警戒を強めてきました。今回の一連の訴訟は、こうした流れが家庭用ルーターという身近な製品にまで及んできたことを示しています。実際に販売禁止などの措置に至るかは今後の司法判断次第ですが、消費者の関心を集めるのは確実です。
日本への影響
TPリンクのルーターは、手ごろな価格を武器に日本の家電量販店やインターネット通販でも広く売られており、自宅や職場で使っている読者も少なくないはずです。今回の訴訟は米国での出来事ですが、通信機器の安全保障をめぐる議論は日本にとっても人ごとではありません。日本政府も、政府調達から特定国の製品を事実上締め出す動きを進めてきた経緯があり、企業や官公庁ではネットワーク機器の調達先を見直す動きが広がる可能性があります。一般の家庭でも、ルーターのメーカーがどこの国の企業かを意識し、購入後は速やかにソフトウエアを最新の状態に更新する、初期設定のパスワードを変更するといった基本的な対策を徹底することが、自分の情報を守るうえで欠かせません。身近な機器だからこそ、価格の安さだけでなく安全性にも目を向けることが求められます。
まとめ:毎日使うルーターにも、国際政治の影が差しています。便利さと安全のバランスを、改めて見直してみてはいかがでしょうか。
出典:
The Hacker News – Five U.S. states sue TP-Link
TechRepublic – TP-Link Faces 5 State Lawsuits
Cybernews – US states sue TP-Link over router China ties
Photo: The Design Lady / Unsplash


