AI半導体サンバノバ、企業価値1.1兆円に──10億ドル調達

テクノロジー

米AI半導体スタートアップのサンバノバ・システムズが、10億ドル(約1500億円)の大型資金調達を実施しました。企業価値は110億ドル(約1.6兆円)に達し、エヌビディアに挑む「対抗馬」への投資家の期待の高さを映しています。わずか5カ月前の前回調達に続く、異例のスピードでの増資です。

ゼネラル・アトランティックが主導

サンバノバは7月8日、シリーズFラウンドの一次募集(ファーストクローズ)で10億ドルの戦略的資金調達を完了したと発表しました。ラウンドを主導したのは投資会社のゼネラル・アトランティックで、資産運用大手のティー・ロウ・プライスやキャピタル・グループも大口で参加しました。調達後の企業価値は110億ドルに評価されています。

多彩な出資者の顔ぶれ

出資者の顔ぶれは多彩です。ブラックロックが運用するファンドやインテル・キャピタル、カタール投資庁(QIA)、ビスタ・エクイティ・パートナーズなどが名を連ねました。サンバノバは今年に入って新型チップ「SN50」を発表し、インテルとの戦略提携とともに3億5000万ドルを調達したばかりで、投資マネーが同社に集中している構図が鮮明です。

狙いは「推論」市場

サンバノバが狙うのは、学習済みAIを実際に動かす「推論(インファレンス)」の市場です。金融大手のJPモルガン・チェースは同社を推論基盤のパートナーに選び、「SN40」「SN50」システムを自社内(オンプレミス)に導入して機密性の高いAI処理を担わせています。エヌビディアが圧倒的なシェアを握るAI半導体市場で、独自チップによる挑戦者の存在感が増しています。

日本への影響

AI半導体をめぐる競争の激化は、日本の投資家と産業界の双方にとって重要な意味を持ちます。エヌビディア一強とされてきた市場に有力な対抗馬が育てば、AIチップの供給源が多様化し、価格競争を通じて日本のデータセンターやAI開発企業のコスト負担が和らぐ可能性があります。ソフトバンクグループがAI関連投資を積極化させているだけに、こうした新興勢力の動向は国内の投資家にとっても関心の的です。

製造の面でも波及効果が見込まれます。AI半導体の増産は、東京エレクトロンやアドバンテスト、SCREENホールディングスといった日本の半導体製造装置メーカーへの需要につながり、TSMCの受託生産を支えるサプライチェーンにも恩恵が広がります。推論向けチップの多様化が進めば、電力効率を高める周辺技術で強みを持つ日本企業に商機が生まれる場面もあり、投資家は半導体の「主役」だけでなく「裏方」の企業にも目を向けておく価値があります。

まとめ:AI半導体の競争は新たな局面に入りました。話題の中心だけでなく、それを支える日本企業にも視野を広げていきたいものです。


出典:
CNBC – SambaNova hits $11 billion valuation as investors back Nvidia chip challengers
Business Wire – SambaNova Completes First Close of $1 Billion Financing
TechCrunch – SambaNova raises $1B at $11B valuation

Photo: Brecht Corbeel / Unsplash

タイトルとURLをコピーしました