企業ネットワークの「玄関口」となるVPN(仮想専用線)製品に深刻な脆弱性(ぜいじゃくせい、安全上の弱点)が見つかり、身代金要求型ウイルス(ランサムウエア)による攻撃に悪用されていることが分かりました。米パロアルトネットワークスの製品が対象です。
認証を回避される欠陥
問題の脆弱性は「CVE-2026-0257」と呼ばれ、同社のVPN機能「グローバルプロテクト」とクラウド型サービス「プリズマアクセス」に存在します。攻撃者は正規のIDやパスワードを使わずに認証を回避し、不正なVPN接続を確立できてしまいます。いったん社内ネットワークに侵入されると、認証情報の窃取や別の機器への侵入、機密データの収集などが可能になり、ランサムウエア攻撃の足がかりにされます。
ランサムウエア集団が悪用
セキュリティ企業リライアクエストによると、ランサムウエア集団「Qilin(キリン)」などがこの欠陥を実際に悪用しているのが確認されました。欠陥そのものは今年5月13日に公表されていましたが、未修正のまま放置された機器が攻撃の標的になっています。影響を受けるのは基本ソフト「PAN-OS」のバージョン12.1、11.2、11.1、10.2などで、管理製品「パノラマ」や「クラウドNGFW」は対象外とされています。
直ちに更新を
パロアルトネットワークスは修正版の適用を強く呼びかけています。専門家は、速やかな更新に加え、不要な「認証オーバーライドクッキー」機能の無効化や、修正後に稼働中のVPN接続をいったん切断すること、過去に不正アクセスがなかったかを調べることを推奨しています。悪用は今後も続く恐れがあるとみられています。
日本への影響
VPN製品は在宅勤務やテレワークの普及で日本企業にも広く浸透しており、今回の欠陥は対岸の火事ではありません。パロアルトネットワークスの製品は国内の大企業や官公庁でも利用されており、未修正のまま使い続けている組織は早急な点検が求められます。日本では情報処理推進機構(IPA)やJPCERTコーディネーションセンターが同種の脆弱性について繰り返し注意を呼びかけてきましたが、更新作業の遅れが被害を広げる一因となってきました。ランサムウエアに感染すれば、業務停止や取引先への影響、復旧費用や信用の失墜といった深刻な損害につながります。企業の情報システム担当者は修正版の適用を最優先で進め、VPNの設定を見直す必要があります。個人の読者にとっても、勤務先のテレワーク環境が安全かどうかを意識し、不審なログイン通知に注意を払うことが身を守る第一歩となります。
まとめ:ネットワークの入り口であるVPNは、攻撃者にとっても格好の標的です。更新を後回しにしないことが、被害を防ぐ最大の防御になります。
出典:
Cyber Security News – Ransomware Actors Exploiting Palo Alto GlobalProtect Flaw
BleepingComputer – Critical GlobalProtect VPN bug now exploited in ransomware attacks
Photo: BoliviaInteligente / Unsplash


