中国のアリババグループの子会社アリババ・クラウドが8月27日、ブラジルに南米で初めてとなるデータセンターを2カ所開設したと発表しました。生成AI(人工知能)向けのサービスも投入し、成長市場である南米でのクラウド事業の拡大を狙います。
2拠点にエージェント型AIサービスを用意
データセンターとは、企業のシステムやデータを預かり、インターネット越しに計算やデータ保存の機能を提供する巨大なコンピューター施設です。今回アリババ・クラウドはブラジルに2カ所の拠点を設け、計算・保存・データベースといった基本機能に加え、利用者に代わって自律的に作業をこなす「エージェント型AI」のサービスも用意しました。
メキシコに続くラテンアメリカ2番目の拠点
ブラジルはアリババにとってラテンアメリカで2番目のクラウド拠点となります。同社は2025年初めにメキシコで域内初のデータセンターを稼働させており、今回のブラジル進出で南米市場に本格的に足がかりを築きました。今回の開設により、アリババ・クラウドの拠点は世界31リージョン・106のアベイラビリティーゾーンに広がっています。
この動きは、米国のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)やマイクロソフト、グーグルが先行する世界のクラウド市場で、中国勢が新興国を軸に存在感を高めようとする流れを映しています。データ主権やAI規制をめぐる各国の思惑が交錯するなか、中国企業がどこまで海外の企業顧客を取り込めるかが今後の焦点となります。
日本への影響
アリババの南米攻勢は、同じ市場で戦う日本企業にとって競争環境の変化を意味します。クラウド分野では米大手が圧倒的な存在感を持つ一方、NTTデータや富士通、ソフトバンクグループ傘下の各社も国内外でデータセンター事業を強化しており、中国勢の低価格を武器にした攻勢は価格競争を一段と激しくする可能性があります。新興国市場での顧客獲得競争は、日本のIT各社の海外戦略にも再考を迫ります。
一方で、アリババのAIインフラ拡大は、半導体やサーバー、電力設備といった裏方の需要を押し上げます。データセンターの増設には大量の半導体や冷却・電源装置が必要で、こうした部材を手がける日本の電子部品メーカーや設備関連企業にとっては商機となる面もあります。日本の投資家としては、クラウド競争を「米中の綱引き」としてだけでなく、その裾野に広がる部材サプライチェーンへの波及という視点でも捉えておくことが求められます。世界のデータセンター投資の行方は、日本の製造業の受注動向を占う手がかりだといえます。
まとめ:クラウドの覇権争いは、遠い南米の話に見えて日本の部品メーカーの受注にまでつながっています。世界のインフラ投資を「日本の商機」としても見ておきたいですね。
出典:
SCMP – Alibaba pushes into South America’s AI market with Brazil data centres
DCD – Alibaba Cloud launches its first cloud region in Brazil
BNamericas – China’s Alibaba launches Brazil cloud region


