カナダ政府は8月25日、米国からの輸入品に対する報復関税を発表しました。対象は700品目を超え、規模はおよそ200億ドル(約2兆9000億円)に上ります。トランプ米大統領がカナダ製品に最大50%の関税を課したことへの対抗措置で、隣国同士の貿易摩擦は新たな激化局面に入りました。発動は9月8日を予定しています。
「1ドル対1ドル」で対抗、700品目に関税
カナダのカーニー首相は、米国の関税に「1ドル対1ドル」で対抗すると表明しました。報復関税の対象には、鉄鋼、乳製品、家電、農業機械などが含まれ、税率は15%から50%まで幅広く設定されます。米国からの木材や紙製品、衣料品なども対象に加わりました。トランプ政権がカナダ産のワインやセメント、アイスホッケーのスティックなどに課した関税に、規模の面でも見合う形で応じたものです。
交渉決裂で同盟国に亀裂
事態が緊迫したのは、両国の貿易交渉が先週決裂したことがきっかけです。トランプ大統領はカナダ製品への関税を引き上げたうえ、さらなる上乗せもちらつかせており、長年の同盟国同士の関係に深い亀裂が入っています。カーニー首相は報復について「カナダ人にとって費用の増加と選択肢の減少を招く」と、痛みを伴う決断であることを認めました。
米国とカナダは世界でも有数の緊密な貿易相手であり、両国の応酬が長引けば、自動車や資源、農産物のサプライチェーンに広く影響が及びます。北米自由貿易の枠組みが揺らぐことへの警戒感も強まっており、関税の連鎖が世界経済全体の重しになりかねない状況です。
日本への影響
米加の貿易摩擦は、北米で事業を展開する日本企業にとって見過ごせない問題です。トヨタ自動車やホンダは、米国とカナダにまたがる生産・部品供給の網を築いており、両国間で関税が積み上がれば、部品の調達コストや完成車の価格に上振れ圧力がかかる恐れがあります。北米は日本の自動車メーカーにとって最大級の収益源だけに、影響は業績に直結しかねません。
より広く見れば、世界的な保護主義の連鎖は、貿易立国である日本経済にとって逆風となります。関税の応酬が各国に広がれば、世界の貿易量が細り、日本の輸出にも波及します。市場では、貿易摩擦への不安が強まると「リスク回避」の円買いが進み、円高を通じて輸出企業の採算を圧迫する場面もあります。日本の投資家としては、北米売上比率の高い自動車・機械株の動向を注視するとともに、通商政策をめぐるニュースが為替や株式に与える影響を冷静に見極めることが求められます。
まとめ:同盟国同士の関税の応酬は、世界の貿易秩序が揺らいでいることを映しています。遠い北米の摩擦が、私たちの車や家計にもつながっていることを意識しておきたいですね。
出典:
CNBC – Canada unveils retaliatory tariffs on about $20 billion of U.S. goods
NPR – Canada hits back at U.S. with tariffs as trade war escalates
MPR News – Canada strikes back at U.S. with retaliatory tariffs
Photo: Kaptured by Kasia / Unsplash


