アップルがOpenAIを提訴──企業秘密の盗用「あらゆる階層で」と主張

テクノロジー

米アップルが、対話型AI「ChatGPT」を手がけるOpenAIを企業秘密の盗用で提訴しました。かつて提携関係にあった両社の異例の対立であり、AIハードウェア開発をめぐる激しい人材・技術争奪戦の一端が浮き彫りになっています。

「あらゆる階層で盗用」と主張

アップルは7月10日、カリフォルニア州北部の連邦地方裁判所にOpenAIを提訴しました。訴状でアップルは「技術スタッフからハードウェア最高責任者に至るまで、あらゆる階層で、OpenAIはアップルの企業秘密と機密情報を盗み続けてきた」と主張しています。

元幹部が「実物の部品」持参を指示か

被告にはOpenAIのほか、ハードウェア設計会社「IO Products」と、元アップル幹部2人が名を連ねます。中心人物とされるのは、アップルの元副社長で現在はOpenAIのハードウェア最高責任者を務めるタン・タン氏です。訴状によると、同氏はアップルからの転職を検討する候補者に対し、面接の場に「実物の部品」を持参して見せるよう指示していたとされます。

ノートPC返却せず機密文書をダウンロードか

もう一人の元社員チャン・リウ氏は、アップルで8年間シニア電気システムエンジニアを務めた後にOpenAIへ移り、支給されたノートパソコンを返却せず、機密の技術文書をダウンロードしていたとアップルは訴えています。両社は2024年にChatGPTをiPhoneの基本ソフトへ統合する提携を結んだ間柄であり、今回の訴訟は関係の劇的な悪化を示しています。

日本への影響

アップルとOpenAIの対立は、日本の関連企業やユーザーにも無縁ではありません。アップルは日本にとって最大級の取引先の一つであり、iPhoneの製造には村田製作所やソニーグループ、TDKなど多くの日本企業が部品を供給しています。AIハードウェア開発をめぐる法廷闘争が両社の製品戦略に影響を及ぼせば、こうした日本のサプライヤーの受注計画にも波及する可能性があります。

日本の消費者にとっても、iPhoneに搭載されたAI機能の今後の進化に不透明感が生じかねません。アップルとOpenAIが対立を深めれば、両社の技術連携が見直され、日本語対応のAI機能の展開が遅れる展開も考えられます。人材の引き抜きと機密流出をめぐる今回の争いは、優秀な技術者をめぐる世界的な獲得競争の激しさを映しており、日本のIT企業にとっても機密管理や人材つなぎ留めの重要性を改めて突きつける事例となります。

まとめ:かつての盟友同士が法廷で争う異例の展開です。日本の読者も、AIハードウェア競争の行方を部品供給と製品戦略の両面から注視したいところです。


出典:
CNBC – Apple sues OpenAI alleging trade secret theft
Fortune – Apple accuses OpenAI of stealing hardware trade secrets
TechCrunch – Apple sues OpenAI over alleged trade secret theft

Photo: David Klein / Unsplash

タイトルとURLをコピーしました