米オープンAIは8月25日、自社開発の推論用半導体「ハラペーニョ」の性能テスト結果を公表しました。電力あたりの処理性能で、エヌビディア製の主力システム「ブラックウェル」を上回ったとしています。AI半導体をめぐる勢力図に一石を投じる内容です。
電力あたり約1.9倍、遅延も大幅改善
オープンAIによると、推論(学習済みAIが実際に回答を生成する処理)に特化した自社チップ「ハラペーニョ(Jalapeño)」は、電力1キロワットあたりの処理能力でエヌビディア製の「GB200」を約1.9倍上回りました。数値では、混合処理の指標で8万5448に対し4万4960と大きく差をつけたとしています。消費電力あたりの計算量で1.5〜1.9倍、応答の遅延(レイテンシー)で1.7〜3.6倍の改善が示されたということです。
このチップは、半導体大手ブロードコムとの提携によって開発されました。測定には、調査会社セミアナリシスが公開する「InferenceX」というベンチマーク(性能比較の共通尺度)が使われ、処理量・消費電力・遅延を同時に評価できる点が特徴です。オープンAIは2026年末までに、自社のデータセンターへ「ハラペーニョ」の導入を始める計画です。
比較には留保も、エヌビディア独占に影
ただし、専門家は比較に留保も付けています。「ハラペーニョ」は最新の広帯域メモリー「HBM4」を搭載しており、同じHBM4を使うエヌビディアの次世代基盤「ルービン」と比べるのが本来は公平だという指摘です。今回の比較は「やや不完全で不公平な面がある」との声も出ています。
とはいえ、AI開発をリードするオープンAI自身が独自半導体で高い性能を示した意味は小さくありません。AI向け半導体市場を事実上独占してきたエヌビディアにとって、大口顧客が自社チップへ傾くことは利益率を脅かす要因になり得ます。もっともオープンAIは、今後もエヌビディア製品の購入を続ける方針も示しており、当面は併用が続く見通しです。
日本への影響
AI半導体の主役交代をめぐる動きは、日本の関連企業にも波及します。エヌビディアの独占が揺らぎ、カスタムチップの開発競争が広がれば、広帯域メモリー「HBM」で存在感を持つ企業や、半導体製造装置を手がける東京エレクトロン、素材のJSRやレゾナックといった日本勢に新たな商機が生まれる可能性があります。半導体の設計・製造の裾野が広がるほど、日本の部材・装置メーカーへの需要も多様化するためです。
一方で、AI投資が特定企業に集中する構図が変われば、関連株の値動きも影響を受けます。日本の投資家にとって、エヌビディア一強を前提にした投資判断は見直しを迫られるかもしれません。オープンAIやブロードコムのような「自前主義」の広がりが、半導体サプライチェーン全体の勢力図をどう塗り替えるのか、日本企業の受注動向とあわせて注視していくことが求められます。
まとめ:AI半導体の覇権争いは、いよいよ「作る側」と「使う側」の垣根を越え始めました。この競争の行方が、日本の技術力の見せどころにもつながっていくのではないでしょうか。
出典:
CNBC – OpenAI’s Jalapeño AI chip brings new threat to Nvidia margins
Seeking Alpha – OpenAI’s Jalapeño outperforms Nvidia’s Blackwell
SemiAnalysis – OpenAI Jalapeño: Better Than Nvidia Blackwell
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