米オープンAIは8月24日、対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」内での広告表示を、欧州経済領域(EEA)にあたる31の市場で一斉に開始しました。ドイツ、フランス、スペイン、イタリアなど主要国を含む同社最大の地域拡大で、米国での導入から半年での欧州展開となります。広告が表示されるのは無料版と低価格の「Go」プランで、有料・法人向けプランは引き続き広告なしとなります。
「過去最大の地理的拡大」
オープンAIは8月19日にこの計画を発表し、EEA全域を一度に対象とする「過去最大の地理的拡大」と位置づけました。表示されるのは、利用者がその時に話している内容や、おおよその位置情報、端末の種類、時間帯、言語に基づく広告です。利用者の会話が広告主に共有されることはない、と同社は説明しています。
欧州はプライバシー保護が特に厳しい地域であり、対応の焦点はEUの一般データ保護規則(GDPR=個人データの扱いを定めた法律)への適合です。オープンAIは8月14日に新たなEU向けプライバシーポリシーを公表しました。文脈に沿った広告は「正当な利益」を根拠に同意なしで表示できる一方、広告履歴を使った個人向けの最適化には別途、利用者の同意が必要になる仕組みとしました。
無料AIの収益化が課題
無料で使えるAIサービスをいかに収益化するかは、業界共通の課題です。オープンAIにとって広告は、莫大な計算コストを支える新たな収入源となります。一方で、利用者からは「対話への信頼が損なわれる」との懸念も根強く、広告が回答の中立性にどう影響するかが、今後の普及を左右する試金石となりそうです。
日本への影響
今回の広告展開の対象は欧州であり、日本はまだ含まれていません。しかし、オープンAIが米国、欧州と段階的に広告を広げてきた流れを踏まえれば、日本語版ChatGPTへの導入も遠くない将来の現実味を帯びてきます。ソフトバンクグループがオープンAIへ巨額出資を続けるなど、日本はこの企業と関わりが深く、国内利用者にとっても収益化の動きは注視すべきテーマです。
日本企業にとっては、脅威と機会の両面があります。ヤフーやLINE、楽天グループといった国内のネット広告・検索事業者は、対話型AIが新たな広告の場となれば競争環境の変化に直面します。一方で、ChatGPT上の広告枠は日本企業にとって新しい販路にもなり得ます。生成AIが「無料で便利な道具」から「広告メディア」へと姿を変えつつある今、利用者側もどの情報が広告なのかを見分ける目を養っておくことが求められます。
まとめ:便利なAIが「タダ」で使える裏側には、広告というビジネスがあります。これからは回答の中に広告が紛れていないか、少し意識して使いたいですね。
出典:
Dataconomy – OpenAI To Launch ChatGPT Ads In 31 European Markets On August 24
TechRepublic – OpenAI Brings ChatGPT Ads to 31 European Countries
Digiday – OpenAI takes ChatGPT ads into Europe
Photo: BoliviaInteligente / Unsplash


