主要7カ国首脳会議(G7サミット)が15日、フランス東部のエビアンで開幕する。17日までの3日間、関税問題やレアアース(希土類)供給危機、貿易体制の再構築など、世界経済の不安定要因が議題の中心に据えられる。議長国フランスのマクロン大統領が描く協調路線と、トランプ米大統領の「米国第一」主義がどう折り合うかが注目される。
関税戦争と北米貿易の行方
最大の論点の一つが、トランプ政権による関税戦争だ。米国はG7のパートナー国に対しても関税を発動しており、サミットでは関税の抑制や撤廃に向けた調整が模索される。さらに、米国・カナダ・メキシコは2026年に貿易協定(USMCA)の再交渉を控えており、北米貿易の枠組み自体が揺れている。
レアアース危機という構造問題
もう一つの構造的な問題がレアアース危機だ。中国が4月にレアアース磁石の輸出ライセンスを厳格化した結果、出荷量は4分の3も減少した。中国はレアアースの精錬で世界の約90%、採掘で約60%を占めており、欧米はそれぞれ約1.5兆ドル規模の経済的損失に直面したとされる。サミットでは、過剰生産能力の抑制やサプライチェーンの強靭化が貿易上の優先課題として掲げられる。
エビアン・サミットの議題は、マクロ経済の不均衡是正、経済安全保障の強化、重要鉱物の供給網確保、国際開発協力の改革という4本柱で構成される。米国を含むG7各国で成長が鈍化または減速するなか、経済的繁栄の立て直しが共通の課題となっている。
日本への影響
レアアース危機は、日本にとって人ごとではない。中国の輸出規制を受け、日産自動車やスズキは部品供給の混乱に見舞われ、スズキは小型車「スイフト」の生産を一時停止する事態に追い込まれた。日本企業はレアアース磁石の調達を中国に大きく依存しており、サミットでの供給網強靭化の議論は、自動車・電機産業の死活問題に直結する。
関税問題も円相場や輸出企業の収益に影響を及ぼす。米国の関税政策が強硬路線を続ければ、対米輸出の比率が高いトヨタやホンダの採算が圧迫され、日経平均の重しとなりかねない。日本政府にとっては、G7の協調を通じて自由貿易体制をどこまで守れるかが問われる場面となる。投資家は、サミットの共同声明が市場心理にどう作用するかを見極める必要がある。
まとめ:エビアンでの3日間が、揺らぐ世界経済秩序の行方を左右する分岐点になりそうです。
出典:
G7 Research Group – Preliminary Prospects for the G7 Evian Summit
CFR – Macron’s Agenda Meets Trump’s at the G7 Summit
INN – Auto Industry Takes Hit as China’s Rare Earths Export Controls Impact Supply Chains


