中米コスタリカのラウラ・フェルナンデス大統領は10月14日、約5100人を収容できる高警備の巨大刑務所を開設しました。治安対策で世界の注目を集めるエルサルバドルの巨大刑務所「CECOT(セコット)」を手本としたもので、麻薬組織の台頭による治安悪化への強硬な対応を象徴しています。
「中米の安全神話」に陰り
コスタリカは長年、中米で最も治安が良く民主主義が安定した国として知られてきました。軍隊を持たない平和国家としても名高い同国ですが、近年は麻薬密売組織の進出を背景に殺人事件が急増し、治安の悪化が深刻な政治課題となっていました。今回の巨大刑務所の開設は、こうした治安危機への強硬な対応を象徴する出来事です。
手本はエルサルバドルの「CECOT」
新施設が手本としたのは、エルサルバドルのブケレ政権が建設した巨大刑務所「CECOT」です。数万人規模を収容するこの施設は、ギャング掃討の象徴として国際的な注目を集める一方、過酷な収容環境や人権侵害への懸念も繰り返し指摘されてきました。コスタリカの新施設も、厳格な警備と大量収容を特徴としています。
広がる強硬策、問われる人権
治安回復を求める世論を背景に、強硬な取り締まりを掲げる政治姿勢は中南米の各国に広がっています。フェルナンデス大統領は開設後にエルサルバドルのCECOTを視察する予定も伝えられました。一方で、大量収容を前提とした刑務所の運営は、適正な裁判手続きや収容者の人権をめぐる議論を呼んでおり、治安改善の効果と人権保護の両立が重い課題として残ります。
日本への影響
地球の反対側にある中米の治安政策は、一見すると日本と縁遠く思えるかもしれません。しかし、コスタリカは豊かな自然や生物多様性で知られ、日本人観光客にも人気の渡航先であり、治安の悪化は現地を訪れる旅行者の安全に直結します。外務省が出す海外安全情報にも影響しうるため、渡航を予定する人は最新の情勢に注意を払う必要があります。また、中南米で強硬な治安政策が広がる潮流は、麻薬組織の越境的な活動という世界共通の課題を映し出しています。日本も覚醒剤などの密輸を通じて国際的な犯罪ネットワークと無縁ではなく、中南米情勢の安定は巡り巡って日本の安全にも関わってきます。安全を求める民意と人権の尊重をどう両立させるかという問いは、法の支配を重んじる日本の読者にとっても考えさせられるテーマです。
まとめ:安全を求める民意と人権の尊重は、時に鋭く対立します。遠い国の決断の中に、私たち自身の価値観を映して考えたいところです。
出典:
https://www.aa.com.tr/en/americas/costa-rica-opens-5-100-inmate-mega-prison-modeled-on-el-salvadors-terrorism-confinement-centers/4089166
https://ticotimes.net/2026/10/14/costa-rica-cacco-prison-opens-how-it-works
Photo: Oxana Melis / Unsplash


