地球温暖化が、感染症の地図を塗り替えつつあります。イタリアではことし、蚊が媒介するウエストナイル熱の感染者が650人を超え、欧州全体のおよそ半数を占めました。気温の上昇が蚊の繁殖と活動期間を延ばし、ウイルスの流行がより広い地域へ、より長い期間に及んでいます。
イタリアで650件超、欧州の約半数
イタリアの保健当局によると、同国では今年これまでにウエストナイル熱の感染が650件以上報告され、欧州で記録された症例の約半数を占めました。ウエストナイル熱は、ウイルスを持つ蚊に刺されることで感染し、高熱や頭痛を引き起こし、重症化すると脳炎などを招く恐れがあります。
気候変動が流行を後押し
専門家は、その広がりの背景に気候変動があると指摘します。研究者によれば、気温の上昇は蚊の繁殖を助け、感染が広がる季節そのものを長くします。その結果、ウイルスを持つ蚊が人に感染を広げる機会が増えるのです。イタリアでは2020年に感染が急増して以降、この病気は「定着した(エンデミック)」状態とされ、毎年夏から秋にかけて報告されるようになりました。
流行は欧州の北部へも広がっています。オランダではことし、2020年以来初めてとなる20件以上の感染が確認され、死者も出ました。感染症を媒介する「ヒトスジシマカ(アカイエカ類)」の生息域も急拡大しており、10年前には欧州8カ国・114地域だったものが、今年は13カ国・337地域にまで広がりました。温暖化が、これまで寒さで蚊が生きられなかった地域にまで、感染症のリスクを運び込んでいます。
日本への影響
欧州で起きているこの変化は、日本にとっても警鐘となります。日本ではウエストナイル熱の国内感染例はこれまで確認されていませんが、媒介役となりうるアカイエカやヒトスジシマカは全国に広く分布しています。ヒトスジシマカは、2014年に日本国内でデング熱の流行を引き起こした蚊としても知られ、温暖化によってその生息域は年々北上しています。地球規模で気温が上昇するなか、日本でも夏の高温と長期化が続けば、これまで縁が薄かった蚊媒介性の感染症が上陸・定着するリスクは着実に高まります。訪日客や海外渡航者の増加も、ウイルスが持ち込まれる経路となりえます。日本の読者としては、夏場の虫よけ対策や庭やベランダの水たまりをなくすといった地道な予防を、気候変動時代の「新しい常識」として身につけておくことが求められます。
まとめ:温暖化は、遠い国の異常気象ではなく、私たちの健康に直結する身近な脅威です。感染症の地図の変化を自分ごととして捉え、できる備えから始めていきたいですね。
出典:
NPR – As Europe warms, Italy sees West Nile virus spread
Medical Xpress – Italy sees mosquitos spread the West Nile virus farther and longer
U.S. News – As Europe warms, Italy sees West Nile virus spread farther and longer


