オランダの半導体スタートアップEuclyd(ユークリッド)が、2億ユーロ(約350億円)を超えるシリーズA資金調達を実施したと発表しました。半導体製造装置大手ASML(アドバンスト・セミコンダクター・マテリアルズ・リソグラフィ)の元CEOピーター・ウェニンク氏を会長に迎え、サムスンも出資に加わったことで、AI半導体の新たな挑戦者として注目を集めています。
サムスンや欧州ファンドが主導
Euclydは2024年にオランダ南部のアイントホーフェンで設立された新興企業です。今回の調達は、サムスンやSomerset Capital Partners、EQTが運用するScaleup Europe Fundなどが共同で主導しました。
同社が狙うのは、AIモデルが実際に質問に答える「推論(インファレンス)」と呼ばれる処理です。膨大な計算を伴う「学習」ではなく、日常的にAIを使う場面で必要となる推論に特化し、エヌビディアが主流とするGPU(画像処理半導体)とは異なる独自のアーキテクチャで、消費電力の壁を打ち破ろうとしています。
製品投入は2028年を予定
主力製品は、世界初をうたう自律型AI向けシリコン「craftwerk(クラフトワーク)」と、低消費電力の大規模AI基盤「craftwerk station」です。実際の製品投入は2028年を予定しており、2030年までに数千の企業顧客への提供を目指すという長期的な計画を掲げています。
日本への影響
Euclydの挑戦は、日本の半導体産業にとっても他人事ではありません。AI向け半導体はエヌビディアがほぼ独占してきましたが、電力効率を武器にした新興勢力の台頭は、市場の構図を揺さぶる可能性があります。省電力の推論チップが普及すれば、AIデータセンターの膨大な電力消費という課題の緩和につながり、電力インフラや冷却技術で強みを持つ日本企業にも商機が生まれます。また、サムスンが出資に加わった点は、韓国勢がAI半導体の設計段階から関与を強める動きとして、キオクシアやソニーグループ、ラピダスなど日本勢の戦略にも影響を及ぼします。日本の投資家としては、エヌビディア一強を前提とした半導体関連銘柄への投資が、こうした技術革新によって前提を覆されるリスクがあることを意識しておく必要があります。AIの主戦場が「学習」から「推論」へと移るなかで、どの企業がその波に乗れるかを見極める目が求められます。
まとめ:AI半導体の覇権争いは、まだ始まったばかりです。欧州発の新たな挑戦者が、私たちの使うAIの未来をどう変えるのか、注目してみてはいかがでしょうか。
出典:
EU-Startups – Dutch AI chip startup EUCLYD lands EUR200M+ Series A
Yahoo Finance – EUCLYD Raises Over EUR200 Million
Bloomberg – Chip Startup Euclyd Raises More Than EUR200 Million
Photo: Brecht Corbeel / Unsplash


