フランスの人工知能(AI)企業ミストラルAIが、シリーズDと呼ばれる資金調達ラウンドで30億ユーロ(約5,200億円)を集めたと9月8日に発表しました。調達後の企業価値は210億ユーロを超え、欧州テック企業として過去最大の株式調達となりました。
サムスン主導、幅広い投資家が参加
今回のラウンドは、韓国のサムスン電子が主導し、EQTが運用するスケールアップ・ヨーロッパ・ファンドや既存投資家のPSGエクイティが共同で参加しました。さらにアドバントやブラックロック傘下のファンド、ルクセンブルク大公国も新規に加わり、幅広い顔ぶれが名を連ねました。
創業3年で企業価値ほぼ倍増
創業からわずか3年での快挙です。ミストラルは前回、半導体製造装置大手ASMLが主導した17億ユーロのシリーズCを2025年9月に実施したばかりで、企業価値は当時の117億ユーロからほぼ倍増しました。欧州が米国や中国のAI大手に対抗しうる「主権AI」の旗手として、急速に存在感を高めています。
集めた資金は、最先端モデルを訓練するための計算資源の拡大や、研究・インフラの強化、そして商業展開の加速に充てられます。データを自国内で管理したい政府や大企業の需要を取り込み、米テック依存からの脱却を目指す欧州の戦略とも重なります。
日本への影響
ミストラルの台頭は、AIの主導権が米国一極から多極化へ向かう流れを映し、日本企業にとっても選択肢の広がりを意味します。サムスンが筆頭株主として名乗りを上げたことは、アジア勢が欧州AIと組む時代の到来を示し、ソフトバンクグループやNTTなど独自にAI戦略を進める日本企業の動きにも影響を与える可能性があります。データを国外に出したくない金融機関や官公庁にとって、特定の米国企業に縛られない「主権AI」という発想は、日本でも国産大規模言語モデルの育成論と重なります。AI関連への投資を検討する読者は、エヌビディアやオープンAIといった米国勢だけでなく、欧州やアジアの新興勢力の動向にも目を配ることで、より立体的に市場を捉えることができます。
まとめ:AI開発はもはや米国だけの独壇場ではありません。欧州発の挑戦者から目が離せませんね。
出典:
TechCrunch – Mistral raises EUR 3B as sovereign AI becomes big business
EU-Startups – Mistral raises EUR 3 billion Series D led by Samsung
Unite.AI – Mistral Raises EUR 3B Series D to Expand Sovereign AI
Photo: Martin Martz / Unsplash


