印刷管理ソフト大手のPaperCutが、実際に悪用が確認された深刻な脆弱性(ぜいじゃくせい、プログラムの欠陥)を修正する緊急パッチを公開しました。認証を回避してサーバーを乗っ取れる恐れがあり、現在サポート中のすべてのバージョンが影響を受けます。企業の情報システム部門に早急な対応が求められています。
二つの欠陥を連鎖させる攻撃
PaperCutは8月27日、法人向け印刷管理製品「PaperCut NG」と「PaperCut MF」に対する攻撃が実際に発生しているとして、緊急のセキュリティー勧告を出しました。翌28日には、悪用の連鎖を構成する二つの欠陥に「CVE-2026-81578」「CVE-2026-82078」という識別番号が割り当てられました。
一つ目のCVE-2026-81578は、Web管理画面に関わる認証回避の脆弱性で、深刻度は10点満点で8.8と高いレベルです。二つ目のCVE-2026-82078は、データベース接続まわりに存在する「安全でない動的クラス読み込み」の欠陥で、深刻度は9.4とさらに深刻です。この二つを組み合わせると、攻撃者は認証をすり抜けたうえで、脆弱なサーバー上で任意のプログラムを実行できてしまいます。
全バージョンに影響、リリース2の適用を推奨
厄介なのは、現在サポートされているPaperCut NG/MFのすべてのバージョンが影響を受ける点です。バージョンの新旧にかかわらず危険にさらされることを意味します。PaperCutは修正版を公開した後、外部研究者との調査を踏まえて追加の防御を盛り込んだ「緊急パッチ(リリース2)」を出し、すでに最初のパッチを適用済みの利用者にもリリース2の導入を勧めています。
日本への影響
PaperCutは世界中の企業や大学、官公庁で広く使われている印刷管理ソフトで、日本国内でも多くの組織が導入しています。印刷サーバーは社内ネットワークの奥深くに置かれ、日ごろあまり意識されない存在ですが、そこを踏み台にされれば社内システム全体への侵入口になりかねません。管理者の方は、自組織がPaperCut NGまたはMFを使っているかをまず確認し、最新の「リリース2」パッチを適用済みかどうかを速やかに点検することが求められます。
より広く見れば、この一件は「地味なIT基盤ほど狙われる」という近年の傾向を改めて示しています。日本でも認証基盤や業務ソフトの脆弱性を突いた被害が相次いでおり、印刷管理のような裏方のシステムも例外ではありません。一般の従業員にできることは限られますが、社内から「システム更新のお願い」といった連絡が来た際に後回しにしない、不審なログイン通知に気を配るといった基本の徹底が、組織を守る一助になります。パッチ適用の速さが被害の有無を分ける時代だといえます。
まとめ:普段は目立たない印刷サーバーが、思わぬ侵入口になり得ます。「うちも使っているかも」と思ったら、まず管理者に更新状況を確認したいですね。
出典:
BleepingComputer – PaperCut releases second emergency patch for exploited flaws
SecurityWeek – PaperCut Releases Emergency Patch for Exploited Zero-Day
PaperCut – URGENT Security Advisory (27 Aug 2026)
Photo: Mohammad Ramezanalizadeh / Unsplash


