インドで、若者を中心とする風刺政党「ゴキブリ・ジャナタ党(CJP)」が急速に支持を広げ、モディ政権に圧力をかけています。医療系入学試験の漏洩をきっかけに始まった抗議は、教育改革と若者の雇用を求める全国的な運動へと発展し、ついに教育相の辞任にまで至りました。深刻な若年失業への不満が、その背景にあります。
「ゴキブリ」発言が発端に
運動の発端は、2026年5月にインドの最高裁長官が、職に就けない若者を「寄生虫」「ゴキブリ」と呼んだとされる発言でした。これに反発した米ボストン大学の学生アビジート・ディプケ氏が「もしゴキブリたちが団結したら」と問いかける投稿を行い、風刺政党「ゴキブリ・ジャナタ党」を立ち上げました。名称は与党インド人民党(BJP)をもじったものです。
支持者2400万人、教育相が辞任
運動は数週間でオンラインの支持者2400万人を集め、BJPの900万人を大きく上回りました。きっかけは全国医療系入学試験(NEET)の問題漏洩でしたが、要求は教育制度の改革や、政府の説明責任を求める広範な運動へと膨らみました。警察が警棒や催涙ガス、ペレット弾で鎮圧に乗り出し、100人を超える参加者が骨折や頭部外傷などで病院に運ばれたと伝えられています。
大規模な抗議を受け、7月25日にはダルメンドラ・プラダン教育相が辞任しました。モディ首相は後任にプラフラド・ジョシ氏を充てるとともに、IT起業家ナンダン・ニレカニ氏を長とする教育制度改革の作業部会を設けると発表しました。世界最多の人口を抱える国で、若者の不満が政治を動かした出来事として注目されています。
日本への影響
インドの若者の動向は、日本企業にとって重要な意味を持ちます。インドは世界最大の人口を抱え、「人口ボーナス」による成長市場として、スズキ(マルチ・スズキ)やパナソニック、ソフトバンクグループなど多くの日本企業が進出・投資を進めてきました。若年層の雇用不安や社会の不安定化は、こうした市場の消費や生産の前提を揺るがしかねません。
一方で、教育制度改革が進み優秀な人材が育てば、IT分野を中心に日本企業がインドの人材や市場を取り込む好機ともなります。日本の読者としては、インドを単なる「安い労働力の国」ではなく、政治や社会の変化がビジネスに直結する巨大市場として捉え、その動きを注視していくことが求められます。
まとめ:一人の学生の問いかけが、大国の政治を動かしました。遠い国の若者の声にも、これからの世界を読むヒントが隠れています。
出典:
The Conversation – How Gen Z and India’s Cockroach Janata Party are challenging Narendra Modi
NPR – India’s Gen Z ‘Cockroach People’s Party’ started as satire but is serious about change
TIME – Revolt of the Cockroaches: How India’s Gen Z Humbled Modi
Photo: Dibakar Roy / Unsplash


