AI悪用のフィッシングツールキット発覚──WebDAV経由でマルウェア拡散

テクノロジー

インターネット上に露出していたサーバーから、AI(人工知能)を悪用して作られた攻撃ツールキットが見つかりました。このツールは、ウィンドウズの警告表示を回避してマルウェア(悪意あるソフト)を実行させるもので、生成AIがサイバー攻撃の高度化に使われる現実が改めて浮き彫りになっています。

露出サーバーから攻撃ツールが発見

セキュリティ企業ラピッド7(Rapid7)の調査によると、攻撃者が設定を誤って外部に露出させたサーバーから、フィッシング(偽装したなりすまし攻撃)用のツールキットが発見されました。このツールは「WebDAV」と呼ばれる仕組みを使ってマルウェアを配布する攻撃キャンペーンの裏側で使われていたものです。

ウィンドウズの警告を回避する手口

ツールキットは、ウィンドウズの安全機能である「SmartScreen」や、ダウンロードしたファイルに付く「Mark-of-the-Web(ウェブ由来の印)」の警告を出さずに動作すると称していました。悪用された欠陥自体はマイクロソフトが2025年6月に修正済みですが、攻撃者はこれを応用し、単一の手口を59個の「.url」ファイルへと拡張していました。標的にはInstallUtilやRegAsmといった正規の署名済みツールも含まれ、システムに本来備わる機能を悪用する「LOLBAS」の手法やユーザーアカウント制御(UAC)の回避も狙われていました。

AIが攻撃ツールの構築を支援

注目すべきは、この一連の作業がAIの支援を受けて構築されたとみられる点です。ラピッド7は、この攻撃が大規模言語モデル(LLM)を活用した作業手順によるもので、「Coderrr」と呼ばれるツールの助けを借りて作られた可能性が高いと分析しています。専門知識が乏しい攻撃者でもAIの力で高度な攻撃ツールを組み立てられる時代が、現実のものとなりつつあります。

日本への影響

AIが攻撃側の道具になるという流れは、日本の企業や個人にとっても深刻な脅威です。これまでフィッシングメールは不自然な日本語で見破られることが多くありましたが、生成AIを使えば自然な日本語の偽メールや偽サイトを大量に、かつ短時間で作れるようになります。日本語という言語の壁が防御になる時代は終わりつつあり、企業は従業員へのセキュリティ教育を、より実践的な内容へと見直す必要があります。

具体的な対策としては、OSやソフトを常に最新の状態に保ち、身に覚えのないファイルやリンクを安易に開かない習慣を徹底することが欠かせません。とりわけ今回のように正規ツールを悪用する攻撃は、従来のウイルス対策ソフトだけでは検知が難しいため、企業では不審な挙動を監視する仕組みの導入が求められます。日本の読者一人ひとりも、AIによって巧妙化する攻撃を前提に、多要素認証の設定や、送信元の確認を怠らない姿勢を身につけていく必要があります。

まとめ:AIは守る側だけでなく攻める側の武器にもなり、サイバー攻撃はますます巧妙になっています。日本の読者も、日ごろの警戒と基本的な対策を怠らないようにしていきたいところです。


出典:
The Hacker News – Exposed Server Reveals AI-Assisted Phishing Toolkit Behind WebDAV Malware Campaign

Photo: Tai Bui / Unsplash

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