米、カナダ産の酒・乳製品・バイクを輸入禁止へ──貿易戦争が新局面

経済・金融

米国は、カナダ産のアルコール飲料・一部の乳製品・オートバイの輸入を9月29日から禁止する方針を打ち出しました。これまでの高関税に代わる強硬措置で、両国の貿易戦争は関税から「輸入禁止」へとエスカレートしています。カナダも約200億ドル相当の米国製品に報復関税をかけており、対立の出口は見えません。

関税から「輸入禁止」へ

今回の措置は、米国がカナダ産のアルコール飲料、特定の乳製品、そしてオートバイの3品目について輸入そのものを禁じる内容で、9月29日に発効する予定です。これらの禁輸は、これまで課してきた最大50%の関税に大きく取って代わるものとされます。関税は「割高にして買いにくくする」措置ですが、輸入禁止は「そもそも買えなくする」措置であり、対抗手段としては一段厳しいといえます。

カナダも200億ドル規模で報復

これに対しカナダ側も9月8日、鉄鋼・乳製品・農業機械・紙パルプ・電子機器など700品目を超える米国製品、総額276億カナダドル(約200億ドル)に報復関税を発動しました。カナダは「1ドル対1ドル」の対等な報復だと説明しており、譲歩する構えは見せていません。

交渉再開の見通しも明るくありません。カナダ政府の関係者は、11月の米中間選挙より前に協議が再開する可能性は「ほとんどない」とみていると報じられています。北米という、世界でも最も統合が進んだ経済圏で、隣国同士が互いの製品を締め出し合う異例の事態が続いているのです。かつて自由貿易の象徴だった米加関係が、ここまで冷え込むとは誰が予想したでしょうか。

日本への影響

米国とカナダの貿易戦争は、太平洋を挟んだ日本にとっても無関係ではありません。まず懸念されるのは、北米市場でのビジネス環境の不透明さです。トヨタ自動車やホンダは米国とカナダの両国に生産拠点を持ち、部品を国境をまたいで行き来させながら自動車を組み立てています。国境での輸入規制が広がれば、こうしたサプライチェーンにコスト増や遅延が生じ、日本メーカーの北米事業の採算を圧迫しかねません。また、保護主義が北米で常態化すれば、米国が同様の強硬姿勢を日本製品にも向けてくるリスクが意識されます。すでに自動車関税をめぐる日米の駆け引きは続いており、今回の対カナダ措置は「次は日本か」という警戒感を市場に広げる可能性があります。投資家にとっては、貿易摩擦の激化がドルやカナダドルの為替を揺らし、円相場にも波及する点に注意が必要です。輸出関連株の値動きが荒くなる場面も想定され、日本の家計や企業は、北米の通商政策の行方を「対岸の火事」と考えず、自らの投資や事業への影響として冷静に見極める姿勢が求められます。

まとめ:関税から輸入禁止へと進む米加の対立は、世界の通商秩序が新しい局面に入ったことを示しています。保護主義の波が日本にどう及ぶのか、落ち着いて見つめていきたいですね。


出典:
CNBC – US reveals import ban on slew of Canadian goods
Al Jazeera – Canada retaliatory tariffs
US News – Canada tariffs take effect as talks stall

Photo: M Anink / Unsplash

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