米国のヘグセス国防長官が、北大西洋条約機構(NATO、北米と欧州の軍事同盟)に駐留する米軍の大規模な見直しを表明した。欧州が自国の防衛により大きな責任を負うよう迫る「NATO3.0」構想を打ち出し、同盟内に動揺が広がっている。
6カ月間の見直しを実施
ヘグセス長官は6月18日、ベルギーのブリュッセルで、欧州駐留米軍を対象とする6カ月間の見直しを国防総省が実施すると発表した。見直しの結果は「欧州がどれだけ早く自らの安全保障に責任を持つかにかかっている」と述べ、欧州側の負担増を強く求めた。長官はNATOを「欧州が主導し、欧州大陸の通常戦力による防衛で主たる責任を担う」組織へ作り替える必要があると訴えた。
米国の関与縮小が現実味
長官は欧州の同盟国への不満もあらわにした。米国は6月3日、有事の際に空母や空中給油機、戦闘機などを欧州に供給しない方針を示しており、NATOの欧州連合軍最高司令官は米国抜きで欧州を守る代替計画の策定を進めている。米国の関与縮小が現実味を帯びるなか、欧州は「米国に頼らないNATO」への備えを迫られている。
日本への影響
米国が欧州での関与を縮小する動きは、日本の安全保障にとっても無関係ではない。米国が同盟国に「自助」を求める姿勢を強めれば、その圧力はインド太平洋地域にも及び、日本の防衛費増額や日米同盟の役割分担を巡る議論に拍車がかかる可能性がある。米国の世界戦略の重心がどこに向かうかは、日本の防衛政策の前提を左右する。
経済・市場の面でも波及が見込まれる。欧州各国が国防費を積み増せば、防衛関連の需要が高まり、三菱重工業やIHIといった日本の防衛・重工メーカーにとっても事業機会が広がる展開が想定される。一方で、地政学リスクの高まりは円が「安全資産」として買われる場面を生むこともある。新NISAで防衛関連株や欧州関連の投資信託を持つ個人にとっては、安全保障情勢の変化が市場に与える影響を冷静に見極める姿勢が求められます。
まとめ:「NATO3.0」を巡る米欧の駆け引きは、日本の安全保障と防衛産業にも波及する大きな潮流であり、今後の交渉の行方から目が離せません。
出典:
NPR – Hegseth announces NATO 3.0
Washington Post – Europe readies for NATO with less US
Photo: Saifee Art / Unsplash


